日経新聞2022年9月7日 6:48
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN06CWS0W2A900C2000000/

【ニューヨーク=佐藤璃子】米西部カリフォルニア州で州内のファストフード店従業員を対象に最低賃金を現行の時給15ドル(約2140円)から最大22ドル(約3140円)までの引き上げを可能にする法律が成立した。ニューサム知事がレイバーデー(労働者の日)の5日に署名した。

成立したのはファストフード店従業員の労働条件を改善するための「ファスト法」。知事、下院議長、上院規則委員会が任命する10人で構成する「ファストフード協議会」を設置し、賃金、健康と安全に関する条件、差別や嫌がらせからの保護など従業員に対する最低基準を設定する。同法では2023年の最低賃金の上限を22ドルと定め、24年1月以降は毎年3.5%を上限にインフレと連動した調節ができる。

同州でファストフード業界は、低賃金で福利厚生の充実度が低く、差別の対象となるリスクが高い業界と位置づけられていた。ニューサム知事は、公正な賃金と安全な労働環境に関する基準を定めることで「勤勉な従業員たちはより強い発言力と地位を獲得できる」と述べた。

一方、マクドナルド、ウェンディーズなどのフランチャイズチェーンが加盟する米フランチャイズ協会(IFA)は声明で「価格引き上げが起きることで地域経済に損害を与え、カリフォルニア州の労働者保護も改善されることはない」と同法に反対の立場を示した。

IFA会長のマシュー・ハラー氏は、同法がフランチャイズビジネスモデルに打撃を与えると指摘、「他の州が苦しまないようにするために戦いを止めない」と表明した。