【シリコンバレー=奥平和行】米政治監視団体のコモンコーズは9日までに、8日に投開票した米中間選挙に関連する誤情報が米ツイッターなどのSNS(交流サイト)で拡散したと明らかにした。イーロン・マスク氏が買収したツイッターは4日に社員を半減させる大規模なリストラを実施しており、投稿を監視する体制が弱まっているとの指摘が出ていた。

コモンコーズのバイスプレジデント、ジェシー・リトルウッド氏は「今回は(米大統領選のあった)2020年にSNSを通じた誤情報の拡散が危険を及ぼすとの認識が広がってから最初の主要な選挙だったにもかかわらず、大きな改善がなかった」と指摘した。

リトルウッド氏によるとツイッターに加えて、フェイスブックを運営する米メタの改善も乏しかったという。分析担当者は多くの利用者を抱えるツイッターのアカウントから投票所の係員に対する嫌がらせや偽情報などを含む12以上の投稿があったことを確認し、注記を付けたと説明した。

激戦州のアリゾナ州で8日に複数の電子票数計算機に問題が発生したことに関連し、トランプ前米大統領の支持者らが「民主党による不正選挙の証拠だ」と主張した。ロイター通信はこうした内容を含む投稿がSNSを通じて拡散されたと報じている。

20年の大統領選ではSNSを通じて誤情報や偽情報が拡散し、運営企業が強い批判を浴びた経緯がある。各社は監視の担当者の増員や人工知能(AI)の活用などで対策を強化したが、ツイッターの大規模なリストラで対策が手薄になるとの指摘が出ていた。ツイッターの広報担当者は日本経済新聞の問い合わせに回答しなかった。

日本経済新聞 2022年11月10日 7:06
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN1008K0Q2A111C2000000/