ロシア、資源開発191社の資本取引禁止 非友好国に強制
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ロシアのプーチン大統領は9日、合弁企業など国内で登録された資源開発関連企業191社の株式について、ウクライナ侵攻で対ロ制裁を発動している「非友好国」の企業などを対象に譲渡や売買などを禁じる大統領令に署名した。
8月の大統領令で日本が参画する極東サハリン沖の資源開発事業「サハリン1」などの事業を禁止対象に指定し、追加の対象企業は今後決めるとしていた。

欧米の機械・エンジニアリング大手や日本企業のロシア現地法人が含まれ、今後の資本取引が制約を受ける可能性がある。

9日に公表された大統領令によると、資本取引を禁じたのは資源開発関連の機械製造や保守・サービスを手がける企業など191社。スイス重電大手ABBのロシア法人のほか、独シーメンスや石油サービス会社の米ベーカー・ヒューズなどの現地法人の株式が対象となる。日本企業では日立建機などの現法が対象リストに含まれている。

今回の大統領令では資本取引を禁じることで「非友好国」の企業がロシアから撤退し、国内の雇用喪失や資源開発関連での技術流出などを防ぐ狙いがあるとみられる。ロシアが重視する資源関連の企業の株式が、ロシア以外の企業に自由に売却されることも阻止できる。

資本取引の禁止期限は2022年末までとしている。今後延長される可能性もある。プーチン氏が8月に署名した大統領令ではロシアが国家戦略上、重要だとみなす石油・天然ガス開発の関連事業などについて対象を指定。「ロシアの国家的利益を守る」のが目的として、「サハリン1」や、北極圏の「ハリャガ油田」を挙げた。金融機関についても対象を指定した。

サハリン1を巡って、ロシア側は10月に事業を引き継ぐ新会社を設立した。同事業で権益を持つ海外企業に対して出資を継続するかどうか1カ月以内に判断するよう求めていた。日本の経済産業省や商社などが出資するサハリン石油ガス開発は11月上旬に新会社への参画申請を決めた。事業の移管後も権益を維持し、原油の安定供給を重視する方針だ。