【ワシントン=大内清】米共和党のトランプ前大統領は10日、一部の州で開票作業が続く中間選挙を巡り、東部ペンシルベニア州の上院選でトランプ派の候補が敗れたのは不正があったからだとほのめかす声明を出した。トランプ氏は2020年大統領選での敗北をいまも認めず、同州を含め「大規模な不正があった」と主張。中間選挙でも同様の不正主張が続けば、敗れたトランプ派候補らに同調者がでる恐れもある。

トランプ氏はペンシルベニア州で、予備選の段階から著名テレビコメンテーターで医師のメフメト・オズ氏を支援。オズ氏は8日の本選で、民主党のフェターマン同州副知事に敗れたことを認めている。

しかしトランプ氏は声明で、同州は「選挙で非常に腐敗している」と主張。フェターマン氏には脳卒中の後遺症で発語障害があることを念頭に「2つの文章をつなげることさえできない男に、どうやったらオズが負けるというのか?」と述べた。選挙結果に不審な点があるとの根拠は示さなかった。またトランプ氏は、前回大統領選では自身が同州で「100万票を(不正で)失った」と根拠のない主張を繰り返した。

中間選挙では現在のところ、目立った混乱は起きていない。ただ、トランプ氏が不正主張を強めれば、敗れたトランプ派候補が同調することも考えられる。

激戦の西部アリゾナ州では、劣勢に立たされている共和党のトランプ派候補で元テレビキャスターのケリー・レイク氏が8日、「誠実な選挙が必要だ」「現在のシステムは機能していない」などと、開票プロセスに疑義を呈する発言を行っている。

開票作業は郵便投票の集計などが長引いている州を中心に続いており、米CNNテレビによると米東部時間10日午後11時半(日本時間11日午後1時半)までに、下院(定数435、全議席改選)では共和党が211議席、民主党が198議席を獲得した。補選を含め35議席が改選された上院(同100)は非改選を含めた議席数で共和党が49、民主党が48のままで、勢力確定は12月に行われる南部ジョージア州の決選投票までもつれ込む公算が大きくなっている。

https://news.yahoo.co.jp/articles/a480a4f17384426074fa8dbdfdbb8a4f91180ea1