三越伊勢丹ホールディングスは11日、2023年3月期の連結純利益が前期比95%増の240億円になりそうだと発表した。従来予想を50億円上回り、16年3月期(265億円)以来7年ぶりの高水準となる。都心の百貨店を中心に高額品の販売が好調で、人件費や外部委託費の削減などコスト構造改革も寄与する。

前期から新たな収益認識基準を適用しており、適用前ベースの売上高は18%増の1兆750億円(従来予想は1兆500億円)を見込む。適用後の売上高は18%増の4940億円と従来予想を据え置いた。

百貨店事業の営業損益は133億円の黒字(前期は63億円の赤字)と、従来予想を63億円上回る見通し。優良顧客向けの「外商」を中心に宝飾品などの販売が伸びているほか、新型コロナウイルス対策の行動制限が緩和され、客足も回復している。伊勢丹新宿本店の22年4~9月期の売上高は08年の統合後で最高となった。

販売増に加えてコスト削減も効く。外部委託業務を内部に取り込んだり、社員に複数業務を担当させたりすることで販管費を前期比で57億円分削減することが寄与する。

10月にコロナの水際対策が緩和されたことで、インバウンド(訪日外国人)需要の回復が一段の押し上げ要因になる期待もある。牧野欣功最高財務責任者(CFO)は「(足元での購入動向は)中国人消費が18年度の3割程度だが、(中国以外の)アジアの観光客が好調で、下期は計画よりも業績上振れの期待が持てる」と指摘した。

日本経済新聞 2022年11月11日 21:02
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC116FP0R11C22A1000000/