ウクライナ政府が「世界初のドローン(無人水上艇)艦隊」を作るとして、クラウドファンディングで資金集めに乗り出した。ウェブサイトでは10月29日に南部クリミア半島セバストポリでロシアの黒海艦隊にドローン攻撃を実施したことにも言及。「ウクライナの海や街を守り、穀物の輸出回廊を確保することになる」として寄付を呼びかけている。

 10月の黒海艦隊に対する攻撃を巡っては、ウクライナ政府はこれまで関与を明言していなかった。クラウドファンディングの宣伝文では「ウクライナ海軍はロシアの軍艦に対抗するすべを持たなかった。しかし、10月29日にドローン(無人水上艇)がロシアの艦艇を攻撃した」「史上初めてドローンのみで実行された攻撃だった」などと記載。黒海艦隊の旗艦「アドミラル・マカロフ」を含む3隻に被害を与えたと主張した。一方、ロシアはこの攻撃で掃海艇1隻が被害を受けたと発表している。


 宣伝文によると、ウクライナが製造するのは全長5・5メートル、重さ最大1トンの無人水上艇。最大時速は80キロで、800キロまで航行できる。費用は1隻25万ドル(約3500万円)で、まずは100隻の製造を目指すという。

 ゼレンスキー大統領は11日夜のビデオ演説で、寄付で製造するドローンは、ウクライナ軍が奪還を進めている南部の都市や、クリミア半島の地名から「ヘルソン」「セバストポリ」と名付けると発表。「(ドローン艦隊の編成は)クリミア半島の解放のときを早めてくれると信じている」と語り、国内外に寄付を呼びかけた。【金子淳】

毎日新聞 2022/11/12 12:50(最終更新 11/12 12:50) 649文字
https://mainichi.jp/articles/20221112/k00/00m/030/066000c