11/14(月) 7:01配信
読売新聞オンライン

 2009年の民主党政権での「事業仕分け」を、このセリフとともに記憶している人は多いだろう。「2位じゃダメなんでしょうか」。ちょうど13年前の11月13日、参院議員の蓮舫さん(54)が放った言葉である。

 仕分けは、自民党政権時代の「予算のムダ」を洗い出す会議で、やり玉に挙がっていたのが世界一の性能を目指すスーパーコンピューター(スパコン)「京」の開発計画だった。

 「なぜ1位なんでしょうか」。繰り返し問いただされ、官僚と研究者は迷走気味にこう答えた。「世界一になることで国民に夢を――」。そして、計画は「凍結」されることになった。

 その顛末(てんまつ)に悶絶(もんぜつ)しそうになった人が海の向こうにいた。「なんでそうなっちゃうの」。松岡聡さん(59)。後にスパコン「富岳」の開発に関わることになる研究者である。(福島支局 山口優夢)

「京」の迷走「富岳」に生かす 使いやすさ追求。コロナ飛沫「見える化」

 「思えば、非常にグッドな質問なんです」。スーパーコンピューター(スパコン)「富岳(ふがく)」の開発に関わった研究者の松岡聡さん(59)は、あの騒動を思い返して笑う。

 「2位じゃダメなんですか」――。乱暴な理屈だと驚き、憤慨もした。自分に向けられたものでなく、無視もできた。それでも、科学者の矜持(きょうじ)として、答えられなければならないと考え続けた問いだから。

 2009年11月13日の民主党政権による「事業仕分け」が東京・市ヶ谷で行われていた時、松岡さんは米オレゴン州ポートランドにいた。当時46歳で東京工業大の教授。ちょうど年1回の国際スーパーコンピューティング学会が開かれ、日本人初の論文審査委員長として参加していた。

 世界的な学会には、日本から研究者数百人が足を運んでおり、スパコン「京(けい)」に関する事業仕分けの結果はすぐに伝わった。

精彩欠く答弁 計画凍結へ 「まずいことに」

 「まずいことになったようだぞ」。松岡さんらは会議の録画映像を取り寄せ、何人かとホテルで視聴した。

 京には、1200億円もの国家予算が投じられ、理化学研究所(理研)と富士通が世界一を目指して共同開発を進めていた。松岡さんを始め、関わっていない研究者たちも皆が関心を寄せるプロジェクトだった。

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https://news.yahoo.co.jp/articles/9dd3aacfde08b84e04ebcdc97fa3c0bd3276300c