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旧統一教会を巡っては、友好団体が反共保守の理念を掲げ活動を展開してきたこともあり、左翼勢力や一部メディアが猛烈な批判を繰り広げた。支持率低下に悩む首相としては、この問題で厳しい姿勢を示し政権の浮揚材料にしたいところだろう。しかし、信教の自由という国家の基本に関わる問題を政争の具にすることは許されない。

首相は教団に関わる民事訴訟判決について「過去に解散を命令した事例と比較して十分に解散事由として認められるものではない」との見解も示している。解散命令の事由となる法令違反の有無、「組織性、悪質性、継続性」を持つものかどうか、曇りない目で見ていくべきだ。

特定の教団に対し、前のめりとも言える姿勢で強引な解釈、判断がなされれば、極めて悪しき前例をつくることになる。戦後日本の繁栄の基礎にあった信教の自由は揺らぎ、特定の宗教団体をターゲットにした攻撃が政治の場に持ち込まれれば、大きな混乱を招くことになる。

そもそも質問権が創設されたのは、無差別テロを行った地下鉄サリン事件などのオウム真理教事件が切っ掛けだった。だが安倍晋三元首相暗殺事件では、旧統一教会がテロの被害者になりかねない立場だった。

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