秋葉賢也復興相の秘書が昨年の衆院選で選挙運動の報酬を受け取った問題をめぐり、報酬は公職選挙法が認める車上運動員としての労務費だったとする秋葉氏の説明と矛盾する証言が浮上した。写真週刊誌「フライデー」(電子版)が報じた。立憲民主党は29日の衆院予算委員会で追及を強め、秋葉氏は釈明に追われた。

 秋葉氏を巡っては秘書2人が昨年10月の衆院選の際、12万円と8万円をそれぞれ受け取ったことが既に判明。公選法が禁じる運動員買収の疑いがあると指摘されている。秋葉氏は2人について、12日間の選挙期間中に8日間と6日間、車上運動員を務め、その対価を受領したと説明してきた。これに対してフライデーは28日、別の車上運動員が「秘書2人とは同乗していない」と明かしたと報じた。
 選挙カーは1候補1台に限られる。立民の渡辺創氏は予算委で「秘書2人は本当に選挙カーに乗ったのか。(説明の)信頼性が揺らいでいる」と追及。秋葉氏は「交代で乗車している。2人はしっかり従事していた」と述べた。
 秋葉氏は衆院宮城2区で敗れ、比例代表東北ブロックで復活当選した。立民は宮城県選挙管理委員会が保管する車上運動員の活動予定を提示するよう再三要求。秋葉氏は「情報公開請求の手続きをしたい」と応ぜざるを得なかった。
 秋葉氏については次男が昨秋の衆院選の際、秋葉氏の名前入りのたすきを掛け、街頭活動を行ったことも分かっている。秋葉氏は「(影武者は)他には一人もいない」と断言していたが、フライデーは「少なくとも秋葉4号まで存在していた」との元支援者の証言も伝えた。
 渡辺氏は「影武者は陣営の伝統的手法ではないか」と質問。秋葉氏は「思い出すよう努力したが、そのような事実は承知していない」と答えた。渡辺氏は「まるで疑惑のコンビニエンスストアだ」として秋葉氏の更迭を求めたが、岸田文雄首相は「愚直に説明責任を果たしていくことが重要だ」と繰り返した。
 立民は30日以降も参院予算委で追及を続ける。ただ、党内からは「閣僚を辞任に追い込んでも党の支持率は上がらない」(中堅)と焦りも漏れる。国民民主党の玉木雄一郎代表は29日の記者会見で「尋問は予算委でする話なのか。経済、安全保障の問題がこれだけある中で、公開取調室みたいになっている」と立民の対応を疑問視した。

時事通信 2022年11月30日07時08分
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