毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20221208/k00/00m/040/119000c
最終更新 12/9 00:43

世界遺産「百舌鳥・古市古墳群」の構成資産の一つ、峯ケ塚古墳(大阪府羽曳野市、5世紀末)の発掘調査で、長さ約3・5メートルの木製埴輪(はにわ)が出土した。つえや旗をかたどったとの説がある石見型と呼ばれる種類の木製品で、8日発表した羽曳野市教委によると、他の種類を含めて木製埴輪としては国内最大になるという。

峯ケ塚古墳は全長96メートルの前方後円墳。くびれ部の北側に祭祀(さいし)の場と考えられる造り出しがあり、木製埴輪は付近の周濠(しゅうごう)から見つかった。石見型木製品は、これまで全国15の古墳で出土例があるが、今回のものは現存部分の長さが約352センチ、幅約75センチ、厚さ約8センチ。素材は当時の権力者が好んで使ったコウヤマキだった。

峯ケ塚古墳では、過去の調査で墳丘上に素焼きの円筒埴輪などが並べ立てられていたことがわかっている。今回の木製埴輪も、造り出しと前方部の接続部分に立てられていた可能性があるといい、市教委は「葬送儀礼における木製埴輪の役割を考える上で貴重な成果だ」としている。

古墳時代の木製品に詳しい奈良県文化財保存課の鈴木裕明課長補佐は「石見型木製品は結界の表示や権威の象徴と考えられる。今回の木製埴輪も古墳の重要な部分にシンボル的に立てられ、その大きさから被葬者の地位の高さを知らしめる役割を担っていたのではないか」と話している。

現地説明会は10日午前10時~午後3時。羽曳野市教委文化財課。【玉木達也】