年末年始はホームパーティーなど「家飲み」の機会も増えるとみられるが、自宅に呼んだ友人や恋人をトイレなどで盗撮し、動画サイトに投稿する犯罪が問題となっている。極小レンズのカメラが使われるなどして被害に気付きにくいといい、被害者支援団体の関係者は「盗撮犯罪の手口を知り、身を守ってほしい」と呼び掛けている。

 警察庁によると、全国の盗撮事件の摘発は2012年に約2400件だったが21年は約5000件と、10年間で2倍超に急増している。このうち、トイレや更衣室などでの盗撮は全体の3割超を占める。

 今年4月には複数の知人女性らを自宅に招いた20代の大学生の男が、トイレなどに隠した小型カメラで盗撮をしたとして、京都府迷惑行為防止条例違反容疑で同府警に逮捕された。男はほかにも自宅に呼ぶなどした複数人の女性を盗撮し、動画をネットに投稿していたという。
 身近な人を盗撮し、無断で動画を投稿する犯罪は後を絶たない。投稿サイトには「家庭内盗撮」というジャンルがあり、妻や恋人、子どもの裸を無断で撮影したとみられる動画を多数、閲覧できる状態となっている。
 「全国盗撮犯罪防止ネットワーク」の平松直哉代表によると、撮影者は再生回数を伸ばすため、より手の込んだ映像を撮りたいとの心理が働く。動画を有料で公開するサイトもあり、「数百億円の市場規模だ」と話す。
 盗撮機材は、スマートフォンや小型カメラが多く使われる。レンズが1ミリ程度のカメラがネットで購入できるといい、警視庁幹部は「機器の進化で犯行場所も多様化してきた」と危機感を示す。
 ネットによる性暴力の被害者支援に取り組むNPO法人「ぱっぷす」の金尻カズナ理事長は、被害を減らすために「性的な動画や画像を撮るのは暴力的だと社会が認識することが大切だ」と話している。

時事通信 2022年12月31日07時07分
https://www.jiji.com/sp/article?k=2022123000516&g=soc