大阪湾の淀川河口付近に迷い込んだクジラが発見されてから、11日で丸2日が経過した。大阪海上保安監部によると、尾びれを動かしたり、潮を吹いたりする様子が夕方になって確認できなくなったという。専門家によると、浅瀬では餌を確保できず、衰弱する恐れがあるといい、大阪市が対応を協議している。

 海保によると、阪神高速湾岸線の中島パーキングエリア(PA)の利用者から目撃情報が寄せられたのは9日午前8時ごろ。11日午後3時ごろには、潮を吹くなどの様子が確認できたが、同4時半には動きが見られなくなった。PAの南約400メートル付近におり、発見時とほぼ同じ位置にとどまっている。海保は日の出と日没時の2回、船舶の航行に支障がないか確認を続ける。

 一般財団法人「日本鯨類研究所」(東京都)の資源管理部門長、田村力さん(54)によると、種類はマッコウクジラとみられ、体長約8メートル、体重は8~9トンと推測される。主食は深海のイカや魚で、1日に食べる量は体重の1%ほど。このクジラだと80~90キロが必要になる。

 水深2~3メートルの大阪湾の浅瀬では、生息する魚などの動きが速く、マッコウクジラは捕食が難しい。田村さんは「空腹で衰弱していくしかない。鼻から肺の空気を出す潮吹きの勢いが弱まると、呼吸が弱くなっているという指標になる」と話す。

 SNS(ネット交流サービス)ではこのクジラを「淀ちゃん」と呼び、「なんとか元気になって沖に戻れますように」「頑張れ」などの投稿が相次いでいる。

 水産庁によると、クジラが陸に打ち上げられた場合、発見場所の自治体が救出や処理をする対応マニュアルがある。ただ、今回のように生きたまま湾内に入り込むケースは想定外。大阪市の担当者は「今後、どのような対応が必要か検討しているが、今は見守るしかない」と話す。

毎日新聞

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