熊野英生・第一生命経済研究所 首席エコノミスト

 2023年のびっくり予想である。ドイツの国内総生産(GDP)が、今年中に世界3位の日本を抜く可能性がある。もしそうなると、日本は世界4位に転落する。

 日本は1968年に当時の西ドイツを抜いて世界2位に躍り出た。しかし、2010年に中国に抜かれて3位に落ちた。中国は、人口が日本の10倍以上なので仕方ないと思える。だが、ドイツは人口が日本の7割以下だ。

インフレ率や為替を加味すると……
 国際通貨基金(IMF)の経済見通し(22年10月)では、日本の22年の名目GDPは4兆3010億ドルで、ドイツは4兆130億ドルである。まだ、両者には6.7%の開きがある。23~27年の予測値でも辛うじて日本は逆転されない見通しになっている。

 しかし、今後のドイツのインフレ率、実質成長率、為替レートの変化次第では、日本が逆転される可能性が残る。ドイツのインフレ率は、22年11月は前年同月比11.3%、12月は同9.6%で、日本の同3.7%(除く生鮮食品、22年11月)よりはるかに高い。

 IMFによる23年の実質GDPの予想は、日本が前年比1.6%、ドイツが同マイナス0.3%と、日本の方が勝っている。しか…(以下有料版で, 残り1153文字)

毎日新聞 2023年1月12日
https://mainichi.jp/premier/business/articles/20230111/biz/00m/020/014000c