毎日新聞2023/3/3 20:42(最終更新 3/3 20:42)
https://mainichi.jp/articles/20230303/k00/00m/040/383000c

福岡県筑紫野市の老舗旅館「二日市温泉 大丸別荘」が大浴場の湯を年2回しか入れ替えていなかった問題で、県保健所の調査に虚偽の報告をしたとして、県が近く県警に刑事告発する方針を固めたことが県などへの取材で判明した。公衆浴場法や旅館業法の違反に当たる可能性があるとみて、県警に相談している。

県によると、旅館の利用者が体調不良を訴え、医療機関で細菌感染症「レジオネラ症」と診断されたため、県保健所が2022年8月に旅館を立ち入り検査し、大浴場の湯から基準値の2倍のレジオネラ属菌が検出された。その際に旅館側は湯の交換や塩素注入は適正だったとする虚偽の内容の管理簿を示していた。

しかし、実際には湯の入れ替えは年2回で、塩素注入も怠っていた。同年11月に保健所が再検査したところ、基準値の最大3700倍の菌を検出。県条例では週1回以上は湯を完全に入れ替えることが必要で、県は同年12月に改善を指導した。

2月28日の記者会見で、旅館の運営会社の山田真社長=3月2日付で辞任=は虚偽報告を認め、「違反と分かっていたが、検査に合格したいという思いがあった」と釈明した。【松田栄二郎】