「グルーミング」。本来は動物の「毛繕い」を意味するが、近年は性行為やわいせつ行為を目的に
大人が未成年を手なずける言葉としても使われる。性暴力被害を研究してきた追手門学院大の
櫻井鼓准教授(犯罪心理学)が、兵庫県警本部で開かれた「少年健全育成研究会」で、その実態について講演した。

 「塾講師にLINE(ライン)で勉強の相談をしていたら、家に誘われて性行為をした」(女子中学生)

 「SNS(交流サイト)で『かわいいね』と褒めてくれた男と会うようになったが、性行為の際に写真を撮られた」(女子高校生)

 櫻井准教授によると、SNSの普及を背景に、未成年がこうした被害に遭うリスクが高まっている。
さらに幼さから自身が被害者だと理解できない事例や、加害者と「付き合っていた」と主張するケースに問題の根深さがある。

 「大人になり初めて性被害を受けたという事実に気付き、苦しむ人もいる」と櫻井准教授。
そうした事態を防ぐため、特に子どもと接する教育現場では「被害をなるべく早く見つけてあげること」が重要という。

 櫻井准教授は「体に触られるのを嫌がるそぶりから、被害が発覚したケースもある。
声かけや日常のちょっとしたサインを見逃さないよう工夫して」と出席した警察官や教育関係者に呼びかけた。

 グルーミングを巡っては、わいせつ目的で16歳未満に金銭提供を約束するなどして手なずける行為を
処罰の対象にするよう、刑法などの改正案を政府が閣議決定。今国会での成立を目指す。(井沢泰斗)

神戸新聞 2023/3/27 19:30
https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/202303/0016186267.shtml