キリスト教系新宗教「エホバの証人」の信者の親が教義を背景に、子どもへの輸血を拒むといった虐待が起きているとの指摘を受け、厚生労働省は31日、教団関係者と省内で面会したことを明らかにした。

 同日の面会には、教団側からオンラインも含めて4人が出席。教団側からは「保護者の虐待は容認していない。輸血については家族の判断が尊重されるべきだ」といった説明があったという。

 厚労省は、①国が昨年末に出した宗教を理由にした虐待をめぐるガイドラインの内容②教団として児童虐待を容認していないこと③輸血拒否を強制していないこと④脱会した子どもも親が養育すべきこと――の4点を信者に周知することを要請した。教団側は対応を検討すると回答したという。

 弁護士グループや親を信者にもつ子ども世代の「宗教2世」の当事者たちが、教団内で虐待にあたる行為があったと指摘。厚労省に情報提供もしている。加藤勝信厚労相は3月の国会答弁で、「団体としての認識や実情などについて聴くことが必要だ」との考えを示していた。

 国は年末に公表したガイドラインで、医師が必要と判断した輸血などの医療行為を、保護者が受けさせないことは、ネグレクトや心理的虐待にあたるとの見解を示している。(久永隆一)

朝日新聞 2023年3月31日 23時40分
https://www.asahi.com/articles/ASR307SCGR30UTFL015.html