今月4日、札幌市の地下鉄「大通駅」にある公共の休憩スペースが一部閉鎖になった。同スペースでは、飲酒や喫煙、場所の占領、グループ同士のけんかなど、一部利用者の迷惑行為が問題になっていた。

管理する札幌市交通局によると、注意を促し、補導員による巡回も強化したが、去年12月から今年3月の間でトラブルは約200件にのぼった。内43件が警察へ通報されたほか、今年1月には飲酒し大声を上げた人物が、止めに入った駅員に対し暴行、現行犯逮捕されたこともありやむなく閉鎖された。

誰もが使える公共スペースは、どうあるべきなのか。ニュース番組「ABEMA Prime」に出演した、公共空間の有効活用を伝える「ソトノバ」共同代表の泉山塁威氏(日本大学理工学部准教授)は「多くの課題がある」と指摘する。

「私自身も札幌出身で、このスペースは知っている。どうしてもこういうニュースにはネガティブな声が多く寄せられるが、普段利用している人の声はなかなか表面化しない。悪いところがクローズアップされて、椅子が撤去されることもある。大通駅の公共スペースは、行政や管理者のコミュニケーション、現場のルールに問題があると思う」

同スペースは、去年12月頃から若者と中高年の2つのグループが迷惑行為をしていたという。飲酒と喫煙だけでもどうにか取り締まれなかったのか。泉山氏は「海外に比べて、日本はお酒に寛容なところがある。難しいのは、図書館などの公共施設と違うところだ」と述べる。

「広場などの公共スペースは、常に人が入れ替わり、不特定多数が利用する。どこまでルールをつくって合意していくべきかが大事だ。事例は少ないが、兵庫の姫路や富山など、行政と一緒に連携しながらNPO法人が管理している広場もある。昔は行政に任せれば何でもやってくれたが、今は財政も厳しくなって、時代とともに価値観が変わってきている。誰が公共性をちゃんとサポートしていくのか、担い手をどうするかが難しくなっている」

ABEMA Prime
2023/04/19 12:30
https://times.abema.tv/articles/-/10076099