毎日新聞 2023/5/10 10:30
https://mainichi.jp/articles/20230510/k00/00m/040/031000c

2021年から2年連続で感染者数が過去最多を更新している梅毒。今年も増加傾向に歯止めがかかっていない。
国立感染症研究所によると、23年4月23日までの感染者数は速報値で延べ4370人に上った。前年の同じ時期(延べ3027人)より1343人も多くなっている。

全国で最も感染者が多い東京都では22年、延べ3677人に感染が確認された。過去最多だったという。
都内の感染者数は、17~19年に年間延べ1700人台で推移していた。20年には1579人まで減少したが、21年は一転して延べ2451人と前年より5割以上増えていた。
今年に入っても増加のペースは緩んでいない。4月末までの感染者数は、すでに延べ1255人。前年の同じ時期より242人増加している。


感染すると約3週間で、性器や口など感染した場所にできものやしこりなどができる。治療しなくても、数週間で症状は消える。
ただ、治療せずに放っておくと、数年~数十年後に心臓や血管、神経に異常が現れる場合がある。感染しても免疫ができないので何度でも感染する恐れがあり、抗生物質の投与など早期の治療が必要だ。

なぜ、感染者数は増加傾向のままなのか。梅毒は、性行為による感染が大半を占め、キスでも感染することがある。
都内の場合、若者が多いこともあり、都感染症情報センターの担当者は「何らかの要因で性的接触の機会が増えたことが背景にあるとみられる」と話す。

全国の感染者数は22年、初めて1万人を超えた。
同センターの担当者は「今後も感染者が増える可能性がある」とみており、積極的に検査を受けたり、予防のためにコンドームを正しく使ったりすることを呼びかけている。
【高橋由衣】