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冬季休業中に登山者らが無断で利用した三俣山荘。2階の食堂ではごみなどが散らばっていた=3日(三俣山荘提供)

北アルプス最奥部の黒部源流域にあり、冬季休業中の山小屋「三俣山荘」と「水晶小屋」に登山者が無断で入り込んでいたことが9日、分かった。三俣山荘では入り口が開いたままで大量の雪が内部に入り、食堂にはごみが散乱。水晶小屋は窓枠を壊して屋内のストーブを使った跡があり、火災の恐れもあった。

覆い板が外され、窓枠をこじ開けて入ったとみられる跡が残る水晶小屋=4日午後1時28分(三俣山荘提供)

両山小屋を経営する伊藤圭さん(46)=安曇野市=らが3日、現地を訪れて確認した。三俣山荘の2階の食堂に男性登山者がいて「すれ違ったスノーボーダーから山荘が開いていると聞いた」と話した。伊藤さんが注意すると、悪びれる様子もなく小屋前のテント泊に切り替えたという。 厨房にはごみが散乱し、小動物が動き回った跡も。1階から雪が入って乾燥室に2メートルほど積もり、雪かきや片付けに追われた。伊藤さんによると、2月に山荘付近に行った常連客から1階の戸が開いていたと聞いたという。

翌4日にスタッフが水晶小屋を訪れると、窓の覆い板が外され窓枠をこじ開けられた跡があり、ストーブやトイレが使われていた。「2月8日から11日間山小屋にいたので吹雪を避けることができた。物品を許可なく使用した。賠償したいです」との謝罪文と連絡先を記した手紙に添えて1万3千円が残されていた。

スタッフは2月に吹雪の日があったものの、11日間も滞在する必要があったか疑問視。伊藤さんは「緊急避難で使うなら仕方ないが、十分な装備があるのに快適さから利用するのはやめてほしい」と話した。

信濃毎日新聞2023/05/10 06:05
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