「超弦理論(超ひも理論)」によるなら、この世界には互いによく似たまた別の世界が存在する可能性があるのだという。

 “並行世界”や”パラレルワールド"と呼ばれる2つの世界は、もし本当にあるのだとすれば、おそらくはよく似ているはずだ。

 今回、筑波大学などの研究チームは『Asian Journal of Mathematics』(2023年4月27日付)に掲載された論文で、そのことを数学的に証明している。

 それによるとA世界では起こらない劇的な”爆発”は、やはりB世界でも起こらないと考えられるのだそうだ。

世界は振動する”ひも”でできている「超弦理論」とは?
 「超弦理論(超ひも理論)」とは、この世界のもっとも基本的な作りについて説明する物理学の仮説だ。

 物理学では、この世のあらゆる物質は「素粒子」という最小のパーツが集まってできていると考えられている。

 たとえば、あなたが今手に持っているスマホをどんどん分解すれば、やがては「原子」にまで分解できる。この原子はさらに「電子」「陽子」「中性子」に分解できる。

 そして電子はまさに素粒子(レプトンという素粒子の仲間)そのもので、陽子と中性子は3つの素粒子(クォーク)でできている。それらは物質の最小パーツなので、(少なくとも現時点では)それ以上分解できない。

 これまでの物理学では、こうした素粒子は大きさのない点の粒子と考えられてきた。

 一方、超弦理論では、素粒子は振動する「”ひも”(ギターやバイオリンの弦を想像してみよう)」だと考える。

 素粒子にはいくつか種類があるが、超ひも理論によるなら、それはひもの振動の仕方が違うためだ。

 このように世界のもっとも基本的なパーツを”ひも”と解釈する超ひも理論は、この世は10次元以上の空間でできていると説明する不可思議な理論でもある。

 もちろん私たちには、3次元の空間と時間しか認識できない。だが超弦理論が本当なら、この世界にはさらに6次元以上の空間が存在しているはずなのだ。

 なかなかイメージしにくいし、現時点ではそれを裏付ける証拠もないため、あくまで仮説上の理論だ。

 それでも超弦理論は、なぜか折り合いが悪い「一般相対性理論」と「量子力学」を結びつける可能性を秘めた理論として有望視されている。

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