生まれつき脳の機能に偏りがあることでコミュニケーションが苦手だったり
落ち着きがなかったりする特性がある発達障害。高い独創性や集中力を発揮する人もおり、こうした特性をふまえ、個人のスキル(能力)と業務への適性を判断して採用しようという企業が増えている。
やる気や能力がありながら、思うように働けなかった「眠れる人材」の活躍の場を増やすことにつなげようという狙いがある。

●コミュ力<技術力
電子機器大手のオムロン草津事業所(滋賀県草津市)では令和4年、技術職として自閉傾向のある発達障害当事者の男性を採用した。
プログラマーとして働いているが、周囲の音に敏感なため業務中は常時、イヤホンをつけている。

大学院で情報学を専攻し、高いプログラミング技術を持つが、コミュニケーションが難しいという障害の特性から就職先が見つからなかった。
そんなとき目に付いたのが、同社が令和3年度から始めた「異能人財採用プロジェクト」だ。

「コミュニケーション能力よりも技術力」をうたい、対人スキルは重要視しない。
応募者は2~3週間のインターンシップで課題に挑戦し、業務への適性があるか見られる。特徴的なのは、面接選考を重視しないこと。
担当者は「コミュニケーション力を求めているわけではない」と話す。

一方、配属後は産業医や上司も交えて職場での悩みを聞く面談を定期的に行うなど手厚い体制を整える。

極端にも映るが、狙いは、熾烈(しれつ)な技術開発競争を勝ち抜くため
先端分野で高い技術力を持つ人材を確保することだ。男性はプロジェクトの採用第1号。
勤務態度は真面目で同僚も信頼を置いている。

同社グループ会社の担当者は「従来の採用では埋もれていた人材がたくさんいる。
オムロンが求める人材とその人たちの能力がマッチすれば戦力になる」と意義を語る。

●デジタル分野で活躍
発達障害の中でも自閉症スペクトラム障害(ASD)は、人との交流が苦手な半面
集中力と論理的な思考力を持つと近年の研究で示されている。

ソフトウェア開発やデータ分析など先進デジタル分野での活躍が期待でき
海外のIT企業では発達障害のある人材が多く採用されている。

続きは産経新聞 2023/08/11
https://www.sankei.com/article/20230811-3SIDKDLHVRPABIFXRLIWAKFXWA/