経済界、労働界、学識者の有志でつくる政策提言組織「令和国民会議」(令和臨調)は1日、社会保障の歳出改革に関する提言を発表した。医療保険や介護保険の適用範囲見直しを主張し、「少なくとも年間1兆円以上の社会保障費の圧縮が可能」とする推計結果も示した。
◆過剰な病床や平均入院日数の長さも問題視
 提言で、一度保険適用となった治療や医薬品は、時間が経過し必要性が乏しくなっても保険適用外になりにくく「無駄な給付につながっている」と指摘。有効性や必要性が乏しくなったら適用外とすることや、類似品を処方箋なしで購入できる医薬品の自己負担割合を見直すことを求めた。
 過剰な病床の存在や平均入院日数の長さも問題視。医療機関の機能分化を進め、介護事業所も含めた連携を強化する必要性を訴えた。医療や介護サービスの効果を「見える化」することや、デジタル化、人工知能(AI)活用の推進も提案した。
◆無駄を省くだけでなく「医療の質向上も」
 提言をとりまとめた三菱UFJ銀行特別顧問の平野信行氏は記者会見で「無駄を省くだけではなく、医療の質の向上も目指す施策で、保険料の増加を抑制するためにも不可欠だ」と述べた。(井上峻輔)

東京新聞 2023年12月1日 21時14分
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