電気代の高騰による節約意識の高まりから、消費電力が大きいエアコンを使用しなくても温かくなれる商品が注目を集めている。こうした節電ニーズとスマホを組み合わせて生まれたのが、ニトリの「スマホ毛布」だ。

 スマホ毛布は、その名の通り、毛布に入ったままスマホを操作できるアイテム。毛布の上部2カ所に開いている穴から腕を出せば、胸元や肩はしっかり毛布で覆われて温かいまま、スマホを操作できる。生地の性能ごとに「Nウォーム」(2490円)、よりあたたかい「Nウォームスーパー」(3490円)、最もあたたかい「Nウォームダブルスーパー」(5090円)の3種を展開する(価格は12月17日時点、完売の可能性あり)。

 穴に腕を通すことで、寝返りをうったり横向きになったりしても、毛布がはだけにくいという利点もある。また、毛布自体のサイズを幅150×奥行200センチと大きめに設計。こうすることで、体を動かしても毛布がずれにくくなり、外の冷気が入ってくるような隙間ができづらいという。座ったり羽織ったりしても使用可能だ。

 ニトリホールディングスの広報担当者によれば、スマホ毛布を開発したきっかけは「寒い時期に毛布をかぶったままスマホを触りたい」という消費者の要望だったという。スマホを操作する際に、胸元や肩が毛布の外に出てしまうことに不満を抱くユーザーがいたのだ。

■参考にした日本の伝統的な寝具

 この要望を解決するため参考にしたのが、日本に昔からある「かいまき」という寝具だ。かいまきは着物のような形で襟や袖があるため、肩まで覆い隠すことが可能で、保湿性も高い。「住宅の気密性が高くなっている現代では、かいまき独特の厚みや袖が、寝心地や使い勝手を邪魔してしまう可能性がありました。そこで、もっと手軽に使えるものを開発しようと考えたのです」(同社広報担当者)

 開発の際には、最大の特徴である腕を通す穴にこだわった。何度もサンプルを作り、穴の大きさや位置、角度、フチの仕上げなど、微調整を繰り返したという。約半年かけて完成させ昨年冬に初めて発売したところ、SNS上で「これを考えた人すごい」「人をダメにする毛布」と人気を集めた。暖冬である今年も昨年からの人気を維持し、売り上げは好調に推移しているという。

 開発当初、メインターゲットは寝る前にスマホを使用する割合の高い若年層を想定していた。ところが、発売後は若年層だけでなく、40〜50代からの支持も獲得。同社広報担当者も「この結果は意外だった」と語る。

 スマホ毛布は単体だけでなく、「ゲーミング座椅子」とのセット(1万7080円)も販売している。ゲーミング座椅子は、混同されがちなゲームとPC作業の違いに着目し、その両方の用途に対応した座椅子だ。同社は2019年からゲームに特化した家具「ゲーミング家具」を展開しており、ゲーミング座椅子はそのうちの人気商品だ。

 スマホ毛布の使用場面として、スマホでのゲーム時も想定している。加えて、ゲーミング座椅子はリクライニング機能も備えており、フルフラットにして横になることも可能だ。スマホ毛布とゲーミング座椅子の組み合わせは、共通する使用場面や性能を生かしあっているといえよう。スマホ毛布とゲーミング座椅子の組み合わせは、昨年に引き続き消費者の支持を獲得できるか。

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ITmedia ビジネスオンライン 2023年12月17日 08時00分
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