都内で開催された年末エコノミスト懇親会に出席しました。

 総理は、挨拶で次のように述べました。

「皆さん、こんばんは御紹介にあずかりました、内閣総理大臣の岸田文雄でございます。日経グループの年末エコノミスト懇親会をお招きにあずかりまして、ありがとうございます。
 こうした形では何年かぶりかという話を聞かせていただきましたが、遅れてまいりましたものですから、もう会場大分盛り上がっております。
何か政策について10分ぐらい話をしろと言われて来たものの、皆が盛り下がらないと良いなと思いながら、ちょっとだけお話をさせていただきたいと思います。

【中略】

Japan Weeksという期間を設けて、世界中の有力な投資家に日本の東京に集まってもらって様々な議論を行う。
こうした試みを行いました。結果として、3,300兆円のお金を動かしている世界中の投資家が東京に集まって、日本の経済に対しての様々な意見や、その見方を議論してくれました。
その際に、日本の今の投資や経済に対する取組は高く評価されたということを覚えています。しかし、こうした流れを支えるのも政治の安定であります。
政治の安定こそが最大の外交政策であり、政治の安定こそが最高の経済政策である。こういったことを改めて肝に銘じて、国民の信頼回復に努めなければならない、このように思います。

そして、今の日本の現状を考えますときに、例えば賃上げ、あるいは投資、さらには株価、30年ぶりの水準になっている。
今、経済の潮目が明らかに変わってきた、一つのチャンスだ。こういったことが言われます。
こうした経済の潮目、チャンスをものにできるかどうか。これが今の政権にとって大きな役割であるということを感じています。
バブル崩壊以来約30年間、低賃金・低物価あるいは低成長、こういったことが続きました。そして、何よりも物価は上がらないという予見が日本の社会に広がってしまった。
このことが大変大きな影響を及ぼしてきたと感じています。

30年来のデフレ心理の蔓延(まんえん)、これは間違いなく、日本経済の質的な劣化を生み出したと感じています。
過少投資によってイノベーションの基盤が弱まった。生産性が低下してしまった。また、労働コストをカットすることによって、人的資本の蓄積を遅らせてしまった。
こういったことによって、我が国の経済のファンダメンタルズは大きく毀損(きそん)してしまった。これは強く感じます。
こうした状況を「失われた30年」だと言う方がおられますが、私はそういった見方はいたしません。
亡くなられた青木正彦スタンフォード大学の教授が言っておられたこの30年は「移りゆく30年」であったという見方。
こういった見方が当たっているのではないか。このように感じています。

すなわち、我が国はかつて、高度成長に最適化した経済構造を持っていた。
しかし、今、イノベーションと社会課題解決に最適化した新たな経済構造が求められている。
この変革のために、日本においては一つの世代、すなわち30年程度が必要であるという見方。
こういった見方をするべきではないか。このように思っています。バブル崩壊から30年を経て、日本経済の変化、先ほども申し上げたように、今加速しています。
グローバルな経験を積んだ多くの優秀な経営者が存在します。コーポレートガバナンス改革への海外投資家からの評価、大変高いということ、先ほども少し申し上げさせていただきました。
GX(グリーン・トランスフォーメーション)や人口減少、こうした国家的課題に官民連携して取り組んでいこう。こういった雰囲気も出てきました。

続きは首相官邸 年末エコノミスト懇親会 スピーチ
12月18日
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