KDDIが語る「パケ止まり」の理由とは - ケータイ Watch:
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関口 聖 2024年2月15日 12:49

 KDDIは15日、通信品質に関する説明会を開催した。このなかで、同社執行役員技術統括本部技術企画本部長の前田大輔氏が、“つながっているように見えるのに、なかなか通信が進まない”といういわゆる「パケ止まり」の背景にある要因などを語った。

 2020年に始まった5Gに対し、4年間程度を「5Gの導入期」と位置づけ、まずはエリアを広げるべく、4G用周波数を5Gに転用してきたKDDI。これは、5G用として新たに利用が始まった周波数が、いわゆる“高い周波数”になり、低い周波数と比べてまっすぐ届き、建物の陰などに回り込みにくいため、採用された手法だ。同様の手法は、ソフトバンクも採り入れている。

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 「ローバンド(低い周波数)、ミッドバンド(中程度の周波数)で面を作っていくのが導入期」とした前田氏は、2024年度以降、5Gの普及期に入っていくとして、Sub6(サブシックス、6GHz帯の周波数のこと)を扱う基地局を数多く整備してきているという。

 その上で、今春、首都圏を中心に衛星通信との干渉が緩和されることから、首都圏でのSub6での5Gエリアが一気に2倍になると説明する。

 これまでは鉄道路線など、生活導線を中心に5Gのエリアを整備してきたKDDIだが、2023年5月以降、新型コロナウイルス感染症に関する制限が緩和され、人流が戻ってきたことに、「人流回復によるトラフィックにもミートして対応してきた」として、通信量が一気に増えた時期であっても対応できたという。


通信の世代が変わるタイミングでの品質管理の難しさ。

 これまでの5Gエリアの整備方針、そしてこれからの展開に自信を示すKDDIだが、かつての3G、4Gが登場したときと同様、品質管理には苦労する、と前田氏。

前田氏
「システムが変わる時は、どうしても既存のシステムの方がエリアも広い。新世代への過渡期の最初の段階とは、どうしても古いシステムとの間の境界面ができる。ここのチューニングは非常に難しい」

 そう語る前田氏は、3つのポイントを挙げる。

 ひとつはエリアの境目で電波の強度が弱いまま5Gを掴んだままにしてしまうこと。2点目は、5Gの初期段階で導入されている「5G NSA方式」で、4Gの電波を“アンカーバンド”を用いるなかで、アンカーバンドが混み合ってしまう事象。そして3点目が、転用によって4Gと5Gで同じ周波数となり、エリアが重なるところで干渉が発生してしまうということになる。

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 前田氏は1点目の「エリア端での弱電波5G保持」について、5Gエリアを広げるなかで、どうしてもエリアの端は電波が弱くなる、と指摘。その状況のまま5Gに繋がり続けようとすると、“パケ止まり”になってしまう。

 同氏は「携帯電話会社としては、5G対応スマホにはできるだけ5Gに接続してほしいと考えてしまい、できるだけ5Gの電波をキャッチするセッティングをしがちだが、やりすぎるとパケ止まりが起きる」と解説する。

 そこで通信品質をチェックして、繊細なチューニングをして無理をせず、場面によっては4Gにあえて繋がるチューニングをしていくという。

 2点目の「アンカーバンドへの積極的な誘導による周波数逼迫」については、アンカーバンドが混み合ってくれば、こちらもあえて5Gではなく通常の4Gで通信するよう分散させていくというのが対策として紹介された。

 そして、3点目の「同周波数による4Gと5Gのシステム間干渉」が発生する場所では、あえて5Gの届く範囲を狭くしたり、4G側の出力もわずかに下げるといったチューニングをして、重なり合う部分を減らすようにする。

競合他社と比べて

 代表的な3つの事例を挙げて、それぞれでパケ止まり対策をしているというKDDIの通信品質は、他社と比べてどうなのか。

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前田氏は、今回示されたデータは、KDDIのビッグデータによる「パケ止まり」発生率の変化を示す。

 たとえば、競合のうち1社については、2023年4月時点では競合より劣っていたが、対策が生かされ、今年1月時点では同等レベルに追いついたという。

品質を改善する方法

(略)

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