宇治茶の新しい飲み方をPRしようと、京都府が京都市内のカフェなどと連携し、水で淹いれた「水出し」の茶を試験販売するイベントを展開している。若者のお茶離れなどで消費が頭打ちとなる中、新たな楽しみ方として定着させ、市場を広げる狙いがある。
「味やうまみがしっかりしていて、とてもおいしい。手軽に飲めるのもいい」
中京区の元立誠小校舎を使ったカフェ「TRAVELING COFFEE」。水出しの玉露を飲んだ奈良県の会社員女性(45)は、声を弾ませた。
同店では碾てん茶、煎茶、玉露の3種類の宇治茶を1杯300円で販売。水出しは冷やしたミネラルウォーター600ミリ・リットルに対して5グラムのティーバッグを入れ、12時間寝かせるか、水筒に入れてゆっくり100回振る。品質維持と衛生上の観点から独自に消費期限を1日としているため、3杯ずつ計9杯の限定販売だ。
試験販売中は府がティーバッグを提供。売れ残り分を翌日に回せないなど課題もあるが、店主の牧野広志さん(51)は「ペットボトルのお茶が持つケミカル(化学的)な味がない。味は間違いなく商品として通用する」と太鼓判を押す。
府は昨年末から京都市内のカフェやバーなど延べ11店と協力してイベントを実施。目指すのは、新たなメニュー作りを通して宇治茶の可能性を広げることだ。府の担当者は「バーでアルコールが苦手な客が注文すれば、新たな市場につながる。お茶は無料のイメージが根強いが、対価を払ってもらえるような商品開発を続けたい」と話す。
第一弾として水出しを選んだ理由の一つが、誰でもおいしく淹れられる手軽さだ。湯で淹れる場合は温度やタイミングで品質が変わるが、水出しは安定してうま味成分のアミノ酸を引き出せる。店がアレンジして提供するだけでなく、家庭で楽しんでもらえる可能性を秘めている。
取り組みの背景には、減少する緑茶の国内消費量への危機感がある。全国茶生産団体連合会によると、ペットボトル飲料の需要が伸びた2004年には約11万トンを超えたが、16年までに8万トンを割り込んだ。総務省の家計調査によると、茶葉から淹れる「リーフ茶」の1世帯当たりの購入量も01年の年間1174グラムから年々減り、15年は843グラムだった。
同店を運営し、府からPRイベントを請け負う企画デザイン会社「ヱビスデザイン」(上京区)の沢田香織さんは「ペットボトルでしかお茶を飲んだことがない人が増えている。イベントをきっかけに、茶葉から作るおいしさを知ってもらえれば」と期待する。(上杉洋司)
http://yomiuri.co.jp/photo/20180218/20180218-OYT1I50017-1.jpg
http://sp.yomiuri.co.jp/economy/20180218-OYT1T50048.html
「味やうまみがしっかりしていて、とてもおいしい。手軽に飲めるのもいい」
中京区の元立誠小校舎を使ったカフェ「TRAVELING COFFEE」。水出しの玉露を飲んだ奈良県の会社員女性(45)は、声を弾ませた。
同店では碾てん茶、煎茶、玉露の3種類の宇治茶を1杯300円で販売。水出しは冷やしたミネラルウォーター600ミリ・リットルに対して5グラムのティーバッグを入れ、12時間寝かせるか、水筒に入れてゆっくり100回振る。品質維持と衛生上の観点から独自に消費期限を1日としているため、3杯ずつ計9杯の限定販売だ。
試験販売中は府がティーバッグを提供。売れ残り分を翌日に回せないなど課題もあるが、店主の牧野広志さん(51)は「ペットボトルのお茶が持つケミカル(化学的)な味がない。味は間違いなく商品として通用する」と太鼓判を押す。
府は昨年末から京都市内のカフェやバーなど延べ11店と協力してイベントを実施。目指すのは、新たなメニュー作りを通して宇治茶の可能性を広げることだ。府の担当者は「バーでアルコールが苦手な客が注文すれば、新たな市場につながる。お茶は無料のイメージが根強いが、対価を払ってもらえるような商品開発を続けたい」と話す。
第一弾として水出しを選んだ理由の一つが、誰でもおいしく淹れられる手軽さだ。湯で淹れる場合は温度やタイミングで品質が変わるが、水出しは安定してうま味成分のアミノ酸を引き出せる。店がアレンジして提供するだけでなく、家庭で楽しんでもらえる可能性を秘めている。
取り組みの背景には、減少する緑茶の国内消費量への危機感がある。全国茶生産団体連合会によると、ペットボトル飲料の需要が伸びた2004年には約11万トンを超えたが、16年までに8万トンを割り込んだ。総務省の家計調査によると、茶葉から淹れる「リーフ茶」の1世帯当たりの購入量も01年の年間1174グラムから年々減り、15年は843グラムだった。
同店を運営し、府からPRイベントを請け負う企画デザイン会社「ヱビスデザイン」(上京区)の沢田香織さんは「ペットボトルでしかお茶を飲んだことがない人が増えている。イベントをきっかけに、茶葉から作るおいしさを知ってもらえれば」と期待する。(上杉洋司)
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