2001年の労基署勧告で発覚も是正で誤り 従業員3万人の4億9000万円が未払い
■「法令の理解が十分ではなく、計算式を誤った」――。
コンビニエンスストア業界最大手のセブン-イレブン・ジャパン(SEJ)は10日、加盟店従業員の給与計算を誤り、8129店舗の3万405人分、遅延損害金を含め計約4億9000万円分が未払いだったと公表した。同日記者会見して謝罪した永松文彦社長ら幹部は、その原因を追及されると冒頭の言葉を繰り返した。
SEJなどのコンビニの従業員は、店舗の大半を占めるフランチャイズ加盟店の場合、加盟店のオーナーが雇用する。そして本部は、従業員の給与計算を代行している。
ところがSEJ本部は、加盟店の判断で勤務態度の良い従業員に上乗せする「精勤手当」や、リーダー格の従業員に上乗せする「職責手当」の割り増し率を誤っていた。
最初に発覚したのは2001年。労働基準監督署の加盟店への是正勧告がきっかけだった。固定給ではなく、時給制の従業員に対し、前出の手当が給料の支払い時に反映されていないと指摘されたのだ。手当そのものが設定されたのは1978〜80年ごろだったが、それ以降もこうした状態が続いていた。
■本部は原因究明もできないまま 時短希望店には法令順守を要求
01年の時点で、この問題は外部に公表されなかった。そして内部で是正をした、はずだった。ところがその時には、これら手当てのうち残業時間分に加算する金額の割合を、本来の1.25倍ではなく0.25倍分しか支払っていなかったのだ。
この計算式の誤りは、今年9月、01年とは別の加盟店に労働基準監督署が指摘して発覚したという。
※中略
■記録がなければ支払いはせず まるで「消えた年金問題」
今回の問題で、給料を本来より少なく支払ったのは、形式上は加盟店になる。とはいえSEJ本部は、問題の原因は自社にあるとして、その費用を負担するとしている。
ところが、給与データが本部に残っているのは、12年3月から今年11月までの7年9月間だけだった。それ以前に本来より少ない手当しか受け取れなかった従業員や元従業員については、当時の給与明細や、店舗に保管された記録がなければ、支払いには応じられないという。
常識的に考えれば、8年以上前にパートやアルバイトとして勤務していた際の毎月の給与明細を、現在まで紙で保管しているという従業員はまれだろう。まるで旧社会保険庁(現日本年金機構)の「消えた年金問題」が勃発した際の混乱ぶりを彷彿とさせる状況だ。
他にも加盟店の労務問題をめぐっては、従業員の社会保険料の支払いをしておらず、違法な状態にある店舗が多数存在している。SEJを含め抜本的な解決策を見いだせないまま放置されている状況だ。
永松社長は記者会見でこうした加盟店の存在を認め、社内に専門部署を設置し、加盟店向けに加入を促す「勉強会」を開催していると説明した。
だが、コンビニの労務問題に詳しい社会保険労務士の安紗弥香氏は「オーナー側は保険加入義務を認識しているが、収益が厳しく、保険料を支払う余裕がないケースが多い」と指摘する。
永松社長は会見で、加盟店支援策として「年間100億円を投じてチャージ(SEJが加盟店から徴収するロイヤルティー)を見直した」と強調した。
ただしそれは本サイトで以前指摘(「セブンの加盟店ロイヤルティー減額を独自試算、人件費上昇分を下回る店舗も」)したように、1店舗当たりの負担軽減額はわずかで、毎年の最低賃金上昇分すらカバーできない店舗が存在する。
今回明らかになった給料の“計算ミス”は、SEJ内部の杜撰なガバナンス問題の一端だ。本部社員による商品の無断発注など、加盟店との関係をめぐる問題は他にも山積している。永松社長は今回、月額報酬10%減、3カ月間という自らへの処分を発表した。
コンビニの労務問題に真正面から取り組む気概があるのか否か。SEJのガバナンスへの視線は厳しくなるばかりだ。
2019.12.11 5:22 ダイヤモンドオンライン
https://diamond.jp/articles/-/223116
https://dol.ismcdn.jp/mwimgs/0/0/670m/img_0027b298f1f3d5fc4d2891d5e94a999e207849.jpg
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【社会】セブンイレブン 残業代の未払い4億9000万円分
https://asahi.5ch.net/test/read.cgi/newsplus/1576013590/
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SEJなどのコンビニの従業員は、店舗の大半を占めるフランチャイズ加盟店の場合、加盟店のオーナーが雇用する。そして本部は、従業員の給与計算を代行している。
ところがSEJ本部は、加盟店の判断で勤務態度の良い従業員に上乗せする「精勤手当」や、リーダー格の従業員に上乗せする「職責手当」の割り増し率を誤っていた。
最初に発覚したのは2001年。労働基準監督署の加盟店への是正勧告がきっかけだった。固定給ではなく、時給制の従業員に対し、前出の手当が給料の支払い時に反映されていないと指摘されたのだ。手当そのものが設定されたのは1978〜80年ごろだったが、それ以降もこうした状態が続いていた。
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01年の時点で、この問題は外部に公表されなかった。そして内部で是正をした、はずだった。ところがその時には、これら手当てのうち残業時間分に加算する金額の割合を、本来の1.25倍ではなく0.25倍分しか支払っていなかったのだ。
この計算式の誤りは、今年9月、01年とは別の加盟店に労働基準監督署が指摘して発覚したという。
※中略
■記録がなければ支払いはせず まるで「消えた年金問題」
今回の問題で、給料を本来より少なく支払ったのは、形式上は加盟店になる。とはいえSEJ本部は、問題の原因は自社にあるとして、その費用を負担するとしている。
ところが、給与データが本部に残っているのは、12年3月から今年11月までの7年9月間だけだった。それ以前に本来より少ない手当しか受け取れなかった従業員や元従業員については、当時の給与明細や、店舗に保管された記録がなければ、支払いには応じられないという。
常識的に考えれば、8年以上前にパートやアルバイトとして勤務していた際の毎月の給与明細を、現在まで紙で保管しているという従業員はまれだろう。まるで旧社会保険庁(現日本年金機構)の「消えた年金問題」が勃発した際の混乱ぶりを彷彿とさせる状況だ。
他にも加盟店の労務問題をめぐっては、従業員の社会保険料の支払いをしておらず、違法な状態にある店舗が多数存在している。SEJを含め抜本的な解決策を見いだせないまま放置されている状況だ。
永松社長は記者会見でこうした加盟店の存在を認め、社内に専門部署を設置し、加盟店向けに加入を促す「勉強会」を開催していると説明した。
だが、コンビニの労務問題に詳しい社会保険労務士の安紗弥香氏は「オーナー側は保険加入義務を認識しているが、収益が厳しく、保険料を支払う余裕がないケースが多い」と指摘する。
永松社長は会見で、加盟店支援策として「年間100億円を投じてチャージ(SEJが加盟店から徴収するロイヤルティー)を見直した」と強調した。
ただしそれは本サイトで以前指摘(「セブンの加盟店ロイヤルティー減額を独自試算、人件費上昇分を下回る店舗も」)したように、1店舗当たりの負担軽減額はわずかで、毎年の最低賃金上昇分すらカバーできない店舗が存在する。
今回明らかになった給料の“計算ミス”は、SEJ内部の杜撰なガバナンス問題の一端だ。本部社員による商品の無断発注など、加盟店との関係をめぐる問題は他にも山積している。永松社長は今回、月額報酬10%減、3カ月間という自らへの処分を発表した。
コンビニの労務問題に真正面から取り組む気概があるのか否か。SEJのガバナンスへの視線は厳しくなるばかりだ。
2019.12.11 5:22 ダイヤモンドオンライン
https://diamond.jp/articles/-/223116
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