逮捕した容疑者について検察が身柄拘束の継続を求める「勾留請求」を裁判所が認めない割合が年々増えている。
10年前まで1千件に1件程度だったが、2010年に100件に1件を超え、13年まで上昇傾向が続く。
最高裁も拘束を許可しない判断を相次いで示すなど、裁判所が「人質司法」を見直す姿勢を鮮明にした形。
専門家は「市民が参加する裁判員裁判の時代に適合している」と評価する。
最高裁第1小法廷(桜井龍子裁判長)は11月17日付の決定で、電車内で痴漢をした疑いで逮捕された大阪の容疑者について、勾留を認めた二審の判断を取り消した。
5人の裁判官の全員一致だった。
 同小法廷は決定理由で、勾留請求を認めるかどうかの基準について「証拠隠滅の現実的可能性がどの程度あるかが問題」と指摘。
単に証拠隠滅の恐れがあればいいとした従来の判断から一歩進み「容疑者が(証拠隠滅目的で)痴漢被害者に接触する可能性が高いことを示す具体的事情はない」と判断した。