上にも書いたけど、元日銀審議委員の白井さゆりの提言がとても的確だよ。

■10年国債金利の操作目標の引き上げと
 同時に、あるいはその すぐ後に、資産買い入れ額を減らす組み合わせがよい

■具体的には、
@長期金利操作目標を0.5 %程度に引き上げる、もしくは0〜0.5%などのレンジにする
A国債買入額を現在の80兆円から、国債発行額の50兆円程度までゆっくりと減額していく


原油価格の下落が止まったので、2017年前半には何もしなくても日本のインフレ率は
プラスになります。同様に、世界もインフレ率が上昇していくので長期金利が上昇
方向に向いています。
となると、日本の金利についても、現在は10年国債金利の操作目標を0%近辺に置いて
いるわけですが、インフレ率がプラスに転換するそのときに、まずは操作目標を0.5
%程度に引き上げる、もしくは0〜0.5%などのレンジにするといった政策変更が必要
だと考えています。時期としては(2017年)前半が適切だと思います。

日銀の80兆円の資産買い入れが次第に難しくなっているからこそ、(2016年)9月に
政策目標として「量」から「金利」への明確な転換を図ったはずです。それだったら、
ECBも明確に量的緩和の買入額を引き下げたように、いずれは堂々と「80兆円の買入額
を減らす」と宣言したほうがよいと思います。
例えば、現在の80兆円から新規国債発行額くらい(注:平成29年度の新規国債発行額は
財投債等を含めると約50兆円の予定)までゆっくりと減額していく。これからは無理な
買入れを続けるのではなく、副作用が少ない形で長く金融緩和をする方向に向かって
いくべきだと考えています。

0%という極端に低い水準で長期金利を抑える政策も長く続けると金融市場の歪みも
大きくなりますし、企業の新陳代謝や財政規律が進まず長い目でみて日本経済にプラス
にならないと思います。10年国債金利の操作目標の引き上げと同時に、あるいはその
すぐ後に、資産買い入れ額を減らす組み合わせがよいと思います。