『悪夢を招くルペンのユーロ離脱計画』
ルペンの主任経済顧問ベルナール・モノによると、離脱に至るまでには3つの段階があるという。
第1段階として、大統領選に勝利したルペンがEU首脳と会談を行い、ユーロの全廃と各国の新通貨導入を要請。
拒絶されれば、フランスは単独でユーロを離脱する。
次に、新政権はフランス中央銀行の独立権を剥奪する。
最終的には、政府の指揮下で「新フランス・フラン」を発行し、政府歳出の財源に充てるという。

これはEUの金融システム全体に対する「自爆テロ」声明に等しい。
ユーロ圏第2の経済大国フランスが一方的に離脱すれば、EU全体が崩壊しかねないからだ。
まずEUの金融市場が軒並み「取引停止」に追い込まれるだろう。
多くの加盟国が資金調達に窮する。
金利の暴騰と国債の暴落の末、デフォルト(債務不履行)に陥るかもしれない。
銀行が浮遊するユーロ建て資産は焦げ付き、経営危機に直面。
預金者はユーロを引き出してドルに両替しようと、取り付け騒ぎが起きることも予想される。
まさに悪夢だ。
(ニューズウィーク2017年02月21日号)より