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[パリ 24日 ロイター] - 5月7日のフランス大統領選の決選投票に向け、極右政党・国民戦線(FN)のルペン党首はグローバリゼーションやテロリズムの危険性を争点として訴える一方、ライバルのマクロン氏をエスタブリッシュメント候補と位置づけて批判する戦略を取りそうだ。

世論調査ではルペン氏が決選投票で勝つ可能性はなきに等しいが、FNは承知の上で、こうした争点の訴えに力点を置き、不満を強める極左勢力や右翼主義者の取り込みを目指す。

元銀行員のマクロン氏は、FNに反対する幅広い政治勢力の支持を集めている。このため、マクロン氏との一騎打ちとなる決選投票は、ルペン氏にとって反エスタブリッシュメントの主張を鮮明にするチャンスでもある。

ルペン氏は24日、フランス北部の小さな町ルブロワで、決選投票ではグローバリゼーションの是非が問われるとし、ルペン氏に対抗した主流派の政治家の「腐った」連携に痛烈な批判を浴びせた。23日の第1回投票で、ルペン氏はこのルブロワで40%の支持を集めトップ。ルペン氏同様、グローバリゼーションを批判する極左のメランション氏が2位だった。

ルペン氏の側近は24日朝のテレビ番組で、こうした点を強調し、メランション氏の支持勢力への働き掛けに意欲を示した。「左翼と右翼という対立は昔のことになりつつある。グローバリズムを支持するのか愛国主義者かが新たな対立軸だ。第1回の投票で明らかになったことで、それが決選投票に向けた争点の中心になる」とルペン氏の側近の1人はロイターの取材に話した。

23日の第1回投票でのルペン氏の得票率は21.3%と、マクロン氏の24.01%の後塵を拝した。ルペン陣営は直ちに「マクロン氏 の真の姿はエスタブリッシュメント候補だ」とメッセージを発し、ソーシャルメディアで拡散するよう支持者に促した。

メランション氏の得票率は19.64%。同氏は何年にもわたりルペン氏と対立してきたが、決選投票で誰を支持するかについては口をつぐんでいる。メランション氏の支持者の一部が、ルペン氏の反グローバリズム、反エスタブリッシュメントの主張に呼応する可能性はある。

メランション氏が投票結果を徹夜で見守ったパリ北部の酒場では、支持者の見方はまちまちだった。

ただ、ハリス・インタラクティブの調査を見ると、ルペン氏支持に回るメランション支持層は少数派のようだ。決選投票でマクロン氏を支持するとしたメランション支持者は約52%に上り、32%は棄権すると回答、ルペン氏を指示すると答えたのはわずか12%に過ぎない。

<十分ではない>

アナリストは、右派候補のフィヨン氏やナショナリストの二コラ・デュポンエニャン氏を支持した、安全保障問題や欧州国境間の自由な行き来に懸念を持つ右翼主義者の方が、中道的なマクロン氏に対する批判でまとまりルペン氏を支持する可能性が高いかもしれないと分析する。

ハリス・インタラクティブの調査ではフィヨン氏に投票した有権者の47%がマクロン氏を支持する考えを表明する一方、23%はルペン氏を支持する姿勢を示している。

ルペン氏は第1回投票に向けた選挙戦で、持論の移民政策や安全保障、テロの問題をあまり有権者に浸透させることができなかった。ルペン陣営は、これらが決選投票に向けた重要テーマになるとの見方を示す。実際、ルペン氏は24日、「イスラム主義テロリズムの根絶」や「イスラム教徒の外国人」の追放を約束したリーフレットを配布している。

とはいえ、24日の世論調査によると、決選投票におけるマクロン氏支持は60%以上に上るとみられ、テロ問題などを訴えるだけでは「勝つために十分とは思えない」と、ニース大学のFN研究者、ギル・イバルディ氏は指摘する。

トゥール大でFNを専門にするシルバン・クレポン氏は、今回の大統領選でルペン氏はマクロン氏との差を埋められないと予想。ただ、反移民などを主張し続けることは、左翼政党、右翼政党の存在感低下が際立つ現在の政治情勢の再編や、FNの将来にとって重要な意味を持つとし、「FNは(次の大統領選がある)2022年に備えている」と分析した。

(Ingrid Melander記者)

2017年 4月 25日 1:26 PM JST

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