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全体主義とエコロジー

エコロジーの思想的な基盤にはドイツの生物学者エルンスト・ヘッケルの寄与が
指摘されており、ヘッケルの種の優生学的保存などの社会ダーウィニズム的な主
張はナチスによるホロコーストを支える理論的な根拠として扱われたことから、
エコロジーとナチスのファシズムの二つの思想の潮流を辿ると、いずれもヘッケル
を介するという点で共通項をあげることができる。

ナチス政権下のドイツでは、1933年に動物保護法、1934年に国家狩猟法、1935年に
国家自然保護法が制定され、動物の虐待の禁止、麻酔なしの生体解剖の禁止、野生
生物の保護のため雑木林の保護などが行われた。その一方で、豚などの動物を忌み
嫌い、捕虜やユダヤ人に対しては動物以下の扱いが行われた。これは人間と動物の
境界を曖昧にすることによって、人間に対する殺人のハードルを動物のレベルにま
で下げることになったためとの解釈が行われている。