欧州合同原子核研究機関(CERN)は、設置から39年を経た粒子加速器を更新し、持ち運び可能な機種につながる新たな装置を導入したと発表した。ガン治療や美術工芸品の分析などに役立つと期待されるという。

更新作業が行われているのは、直径27キロの円型加速器である大型ハドロン衝突型加速器(LHC)。原子核の構成要素である陽子をほぼ光速で衝突させる装置で、宇宙の謎解明などに活用されている。

新たに導入されたLHC入射器である線形加速器「Linac 4」は完成に10年を要したが、プロジェクトを率いたMaurizio Vretenar氏は、この研究で技術の小型化に成功しており、多くの潜在性がみられると述べた。

すでに、この技術から発生した粒子ビームによる腫瘍治療装置は開発が完了し、特許を取得しているほか、崩壊が速いため急いで運搬する必要のあったガン診断用アイソトープを病院内で製造することも可能になっているという。

今後は、長さ1メートル、重さ100キロ程度で、美術館などが絵画や宝石の分析に活用できる装置の開発を目指すという。

ソース/ロイター
http://jp.reuters.com/article/cern-idJPKBN1860OG