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ワシントンのトルコ大使館前で16日にエルドアン政権に抗議する人たちとトルコ政府関係者との間に激しい暴力沙汰が発生し、抗議する人たちが大勢負傷した問題で、米政府は17日、トルコ政府に抗議した。

タイイップ・エルドアン大統領のホワイトハウス訪問に合わせて、トルコの反体制派が大使公邸前に集まったところ、現場を警備する米国の警官たちの間をスーツ姿の男たちが突進し、エルドアン政権に抗議する人たちを激しく蹴ったり殴ったりする様子が、撮影された。男性が顔から流血したり、腹部を激しく蹴られるほか、女性が首を絞められる様子などが映っていた。

現場で2人が逮捕され、11人が負傷した。

ワシントンの警察は、「平和的に抗議する人たちへの、残酷な攻撃」だったと非難している。

トルコ大使館は事件について、大統領の訪米を歓迎するため集まったトルコ系米国人を、反体制派が激しく挑発したため、トルコ系米国人が自衛のために応戦したのだと説明した。

しかし国務省は「暴力事件を懸念している」と声明を発表し、トルコ政府の警備員が暴行に加わっていたと反論した。

「表現の自由に対する反応として、暴力は常に不適切だ。あらゆる場所で人々が自由に意思表示し、平和的に抗議する権利を我々は応援する」と国務省は述べ、「きわめて強い表現で、懸念をトルコ政府に伝達している」と表明した。

トランプ大統領と会談後のエルドアン大統領が大使公邸を訪れていた際に、衝突は起きた。

ワシントンの首都警察は17日、米国在住のトルコ系男性2人を逮捕したと発表。2人がエルドアン大統領の警備担当だったかは明らかになっていない。

ピーター・ニューシャム本部長は、「この街でこのような暴力は容認しない」と批判。エルドアン大統領の警備要員が銃で武装していたため、なおのこと地元警察としては抗議集会の治安を守るのが困難だったという。

下院外交委員会のエド・ロイス委員長(共和党、カリフォルニア州選出)も、ジェフ・セッションズ司法長官とレックス・ティラーソン国務長官に書簡を送り、衝突について対応するよう呼びかけた。

「このような暴力行為は容認しないと、明確に伝えるため、本件についてただちに調べ、関係者たちが米国を出国する前に適切な刑事罰を下すよう対応していただきたい」、「外国政府の関係者だからといって、凶悪犯罪を犯しながら起訴を免れるなど決してあってはならない」とロイス委員長は書いた。

ワシントン市長(コロンビア特別区長)のミュリエル・バウザー氏は、「ワシントンの価値観や私たち米国人の権利への侮辱だ」と非難した。

(英語記事 US complains to Turkey over embassy violence)

2017/05/18

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