政府は19日午前、天皇陛下の退位を実現する特例法案を閣議決定した。同日午後にも国会に提出する。
法案成立後に政令で定める退位の日は2018年12月末が有力で、19年1月1日から平成に代わる新元号を施行する日程を検討している。

退位の日と新元号は18年中に決定、公表する方針だ。

天皇の退位が実現すれば、1817年の光格天皇以来約200年ぶりで、天皇が終身在位制となった明治以降では初めて。
法案には与党と民進党などが賛成する方針で、今国会で成立するのは確実だ。

法案名は「天皇の退位等に関する皇室典範特例法」。第1条で、陛下が83歳と高齢になられ、公的行為などの「活動を続けることが困難となることを深く案じておられる」と指摘。
「国民は陛下のお気持ちを理解し、これに共感している」などと退位に至った事情を説明した。

退位後の天皇は上皇、きさきは上皇后とし、敬称は共に陛下とする。
また皇室典範の付則に「特例法は、この法律と一体を成す」との根拠規定を新設した。

法施行日に退位すると規定し、施行日は、首相が三権の長や皇族代表らで構成する皇室会議から意見を聴いたうえで、法律の公布日から3年を超えない範囲内で政令で定める。
新たに皇位継承順位1位となる秋篠宮さまについては、現在の皇太子さまと同等の待遇とする。

今後は安定的な皇位継承に関する付帯決議の扱いが焦点となる。
民進党は、女性皇族が結婚後も皇室に残る「女性宮家の創設」の文言を入れたうえで、実現時期を明記するよう求めている。
秋篠宮さまの長女眞子さま(25)が婚約されることになり、世論の高まりを背景に強く主張する構えだ。

一方、自民党は女性宮家の文言を入れることに消極的だ。安倍晋三首相や党内保守派が、将来的に父方が天皇の血を引かない女系天皇が誕生する可能性があるとして、女性宮家に慎重なためだ。

特例法案は、昨年8月に陛下が退位の意向がにじむおことばを公表したことに端を発した。
政府の有識者会議は今年1月に一代限りの対応を促す論点整理を示した後、4月に退位後の制度設計をまとめた最終報告を首相に提出した。
国会では3月に衆参正副議長が特例法だが将来の先例になるとの国会見解をまとめ、政府はこれを基に法案を策定した。【田中裕之】

配信 2017年5月19日 11時07分(最終更新 5月19日 11時13分)

毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20170519/k00/00e/010/264000c