過去数十年、地球の最北端で熱心に作業を行う専門家たちによって、いく種類かの古代のウイルスが発見されてきた。
2015年、シベリアでは3万年前のモルウイルス・シベリカムが発見され、実験室の中で目を醒ました。

こうした状況に警戒する向きもある。
温暖化により北極圏の永久凍土は溶け続けており、古代のウイルスが解き放たれる恐れがあるというのだ。

■永久凍土は古代ウイルスの宝庫

仏エクス=マルセイユ大学の進化生物学者ジャン・ミシェル・クラベリー博士は、温度が低く、酸素も光もない永久凍土は「微生物やウイルスを保存するには最高の環境」と述べている。
彼によれば、永久凍土の古い層には人間や動物に感染する病原性ウイルスが保存されているかもしれず、その中には過去に世界的に大流行したものも含まれている。

2011年の研究では、永久凍土が融解した結果、18世紀や19世紀に数多くの犠牲者を出した感染症が復活する可能性があると懸念が表明されている。
特に注意が必要となるのは、感染症で死亡した者が埋葬されている墓地周辺であるそうだ。

■古代ウイルスは危険ではないとする研究科も

一方、古代ウイルスの登場はそれほど心配ないと考える専門家もいる。
科学系作家のカール・ジンマーは、シベリアの永久凍土から拡散する人間の病原菌はないと主張する。

むろん、それはウイルスが登場しないということではない。
彼が言わんとしているのは、現時点ですでに動物界には様々なウイルスが蔓延しているのだから、冷凍されたウイルスの優先順位は非常に低いということだ。

何しろ、これまで検出されたウイルスは自力で解凍して復活したわけではないのだ。
また、それらは実験室の中で細心の注意を払って取り扱われている。
ゆえに古代のウイルスが世界中で大流行する可能性はかなり低いと言えるだろう。

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