町は「町長は全国最高齢で普通の首長とは違う」と容認

全国最年長の現職首長、香川県綾川町の藤井賢町長(87)が、3年前から通院や墓参りに運転手付きの公用車を使っていたことが18日、分かった。
町は「公用車の使用は公務に限られる」との認識を示しつつ、「藤井町長は全国最高齢であり、普通の首長とは違う」として容認している。

町の2016年度の公用車運行記録などによると、藤井町長は昨年7月からの半年間で、町内の病院を治療のため5回訪問。
12月には高速道路を使って同県観音寺市まで往復し、大平正芳元首相の墓参りをした。
また、今年4月の同県丸亀市長選では候補者の応援演説に公用車で駆け付けた。

藤井町長によると、14年4月以降、安全面を理由に車の運転をやめたという。町役場から1キロ余り離れた1人暮らしの自宅からは親族が車で送迎しており、「公務の間に公用車を使わせてもらっている。
健康管理のために必要で、いいかげんなことはしていない」と説明する。

綾川町は人口約2万4500人。香川県のほぼ中央に位置し、高松、坂出両市に隣接する。
公共交通は私鉄の駅が六つ設置されているほか、町営バスやタクシー、予約制乗り合いタクシーがある。綾川町長の月額報酬は80万9000円だ。

藤井町長の公用車利用について、谷岡学・町総務課長は「通院は公務に当たらないが、町長の健康管理を含め、町を挙げてのサポートが必要だ」と強調する。

藤井氏は合併前の旧綾南町長を1987年から5期務め、綾川町発足後は2期連続で無投票当選。
前回14年4月には高齢を問題視する対立候補らとの選挙戦を制した。取材に対し、来年4月の任期満了限りでの引退を示唆した。

政治家の公用車使用を巡っては、東京都の舛添要一前知事が別荘通いに使うなど「公私混同」を指摘された。
公用車で選挙応援に行った首長が職員の人件費などを自主返還した例もある。【岩崎邦宏】

市民団体「政治資金オンブズマン」共同代表の上脇博之・神戸学院大教授(憲法学)の話 通院は公務中にけがをしたのでもない限り公務に当たらず、私的な墓参りで公用車を使うのも不適切だ。
タクシーを使ったり親族に送迎してもらったりすることもでき、高齢だということが特別扱いする理由にはならない。
私的利用分のガソリン代や職員の人件費は返還する必要がある。

配信 2017年5月19日 08時00分

毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20170519/k00/00m/040/194000c