「歴史上これほどひどく扱われた政治家は」……大勢いると歴史家たちがトランプ氏に
BBC:2017年05月19日
http://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-39971529

ドナルド・トランプ米大統領が、自分の選挙運動チームをめぐるロシア疑惑に特別検察官が任命されるなか、
「歴史上、自分ほどひどく、あるいは不当に扱われた政治家はいない」と発言したため、ツイッター上で多くの歴史研究者が、「いやそんなことはありません」と反論している。

トランプ氏は17日、コネチカット州にある沿岸警備隊士官学校の卒業式で、「歴史上、自分ほどひどく、あるいは不当に扱われた政治家はいない」と述べた。

これに先立ち米メディアは、トランプ氏が今年2月に連邦捜査局(FBI)のジェイムズ・コーミー長官(当時)に対して、大統領補佐官(国家安全保障問題担当)を辞任したばかりのマイケル・フリン氏に対する捜査を中止するよう要請していたと報道していた。

大統領の支持者たちは、トランプ陣営とロシア当局との間に結託があったという証拠はなく、マスコミ報道はトランプ氏に敵対して偏向していると非難している。

自分ほどひどい扱いを受けた政治家はかつていないという大統領発言を受けて、ツイッター上では反論が次々と飛び交った。

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BBC歴史番組の司会者ダン・スノウ氏は、たとえばローマ帝国のワレリアヌス皇帝が「戦場で捕虜となり、奴隷にされ、足を載せる台にされ、
溶けた金を無理やり飲まされ、はく製にされた」と指摘(このツイートは19日現在、2万3000回以上リツイートされている)。

スノウ氏はほかにも、英国のエドワード2世が幽閉の後に拷問され惨殺された様子や、英清教徒革命の指導者で独裁者となったオリバー・クロムウェルが病死後に墓を暴かれ、
遺体が絞首刑の後にバラバラにされたことや、コンゴ共和国のパトリス・ルムンバ初代首相がクーデターで殺害され遺体を硫酸で溶かされたことなどを書いた。

スノウ氏の連続ツイートにコメントした他のユーザーも、マハトマ・ガンジー師やマルコムX氏、ネルソン・マンデラ氏など、トランプ氏よりひどい目にあったと思われる政治家や著名人の例を次々と挙げた。

英歴史家のトム・ホランド氏はさらに、「どうだ、クレオパトラ!」とツイートした。

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BBCの「ホリブル・ヒストリーズ(ひどい歴史)」シリーズで有名な歴史家のグレッグ・ジェナー氏も、「サー・アーサー・アストンは自分の木の足で頭蓋骨をかち割られて、脳がとび出てしまった」とツイートした。
アーサー・アストンは清教徒革命で斬首された国王チャールズ1世に仕えた軍人。

歴史学の元助教授で現在は米コロンビア大学でジャーナリズムを教えるジェラニ・コッブ教授は、1989年に妻と射殺されたルーマニアのニコライ・チャウシェスク大統領の名を挙げた。
コッブ教授はさらに大統領の発言について、「まるで折り畳み式の十字架を開いてそこによじ登り、ケチャップで聖痕を描いてみせる出し物みたいだ」とツイートした。

米プリンストン大学でアフリカ系米国研究を教えるテラ・ハンター教授は、「訂正。45(代大統領)は『歴史上、自分ほどひどい政治家はいない』と言うつもりだったんだ」とツイートした。

ほかにも、リンカーン大統領やケネディー大統領など、狙撃されたり暗殺されたりした過去の米大統領の名前も多くツイートされた。
また、トランプ氏が中心になって推進した、「バラク・オバマ前大統領はアメリカ生まれではない」という「出生」陰謀論に言及する人も多かった。

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