広島大やNTTドコモなどは25日、医療機関や医師らが不足する過疎地で、小型無人機「ドローン」を使い、検査用の血液サンプルを運搬する技術の研究開発を始めると発表した。

 島々や山間地を抱える広島県内は、全国の都道府県で2番目に無医地区が多く、車で運んでいるのを自動飛行などで代替し、医療従事者の負担軽減を目指す。

 研究は県内で唯一、全域が本土と橋でつながっていない離島の大崎上島町の介護老人保健施設で実施。町内の医院は5か所だけで、同施設のかかりつけ医院は10キロも離れている。医師の往診時に採取した血液は、スタッフが25分かけて医院へ運んで検査。医師らは、施設で検査結果の連絡を受け、治療している。ドローンなら約20分で運べる見込みで、3年間で技術開発を目指す。

 機体が操縦者から遠く離れても電波が届くよう、総務省の許可を受け、携帯電話の回線を試験的に使う。今年度は、機体の制御や映像伝送を飛行しながら実験し、携帯の基地局に悪影響を及ぼさないかどうかを確認。他の過疎地にアンケートを行い、血液などの運搬でどのような問題を抱えているかを調べる。

 機体は市販のドローンを利用するが、航続距離が延びるよう、来年度以降に改良。飛行中や事故時に血液が漏れないような容器や、携帯電話回線を用いた自動飛行の技術開発も目指し、2019年度には介護老人保健施設から医院への搬送を実施する計画だ。

 広大医学部の貞森拓磨・客員准教授(救急集中治療医学)は「過疎地の医療は人手不足でギリギリの状態。実用化できれば、医師らが診療に集中しやすくなるだろう」と期待している。(阿部健)

2017年05月27日 09時20分 読売新聞
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