琵琶湖のブラックバスとブルーギルの駆除に向けて、釣った量に応じて釣り人に段位を認定する滋賀県の「外来魚釣り上げ名人」事業で、県は事業を開始した2016年度の8か月間で、目標の4倍近い計3・7トンが釣り上げられたと発表した。

 17年度からは通年化し、「初段」の条件を緩和するなどしてより幅広い参加を呼びかけている。

 事業は、希望者が県に登録して、釣った外来魚を計測して県に報告すると共に、県内約100か所に設けた回収用ボックスやいけすに入れる仕組み。期間中に釣った外来魚の重量で段位が決まり、認定証が交付される。「初段」から最高位の「名人」まで10階級あり、「名人」を3年連続獲得すると「殿堂入り」となる。

 初めて実施した16年5〜12月は、個人と複数人以上の団体で受け付け、個人56人と12団体が参加。期間中に釣り上げられた外来魚の総重量は3・7トンと、目標の1トンを大幅に上回った。また、22人と3団体が段位を認定され、うち5人は「名人」になった。

 県は条例で外来魚の再放流を禁止するとともに、設置した回収用ボックスなどへの投入に協力を呼びかけてきた。事業開始前の15年度の総回収量は14・4トンだったが、16年度は3割増の18・6トンとなった。

 参加者へのアンケートを行ったところ、「釣りに目標が持てる」などとおおむね好評だった。一方、各階級が個人は30キロ、団体は50キロ刻みで設定され、団体から「個人のようにこまめに釣りに通えない」などと難易度が高いことへの不満も示された。その指摘を踏まえ、17年度は個人と団体の区分を廃止した。

 また、参加者の大半が40歳以上だったため、初段認定の基準を「30キロ以上」から「10キロ以上」に引き下げ、子どもや若い初心者も気軽に参加できるようにした。

 事業を行う県琵琶湖政策課の担当者は「3・7トンも集まると思っていなかった」と驚き、「これを弾みに更に参加者を募り、外来魚への関心を一層高め、駆除を進めたい」としている。

(生田ちひろ)

2017年05月28日 13時07分 読売新聞
http://sp.yomiuri.co.jp/eco/20170528-OYT1T50075.html?from=ytop_ylist

http://yomiuri.co.jp/photo/20170528/20170528-OYT1I50022-1.jpg
湖岸に設けられた外来魚回収ボックス(大津市で)