http://www.sankei.com/life/news/170530/lif1705300058-n1.html

 東京電力福島第1原発事故の避難指示が3月末に一部解除された福島県浪江町で、民家や畑を荒らすイノシシなどを捕獲するために仕掛けたわなが、何者かに外される被害が相次いでいる。平成28年度には3件発生。故意に逃がしたとみられ、町の担当者は「興奮した動物が市街地に迷い込めば、帰還した住民を襲う恐れもある」と警戒、県警にも相談している。

 原発事故で住民が避難した地域では、イノシシなどの野生動物が活動範囲を人の生活圏に広げ、被害が後を絶たない。浪江町は地元猟友会の協力を得て捕獲隊を結成し、28年度はイノシシ659頭、外来種のアライグマ95頭を捕獲した。

 町によると、わなが外されるケースは27年度から確認され始め、28年度は町中心部近くで集中して起きた。捕獲隊が金属製で箱状のわなに閉じ込められているイノシシを確認し、他のわなを見回った後に回収に戻ると、イノシシがいなくなっていた。わなから出るには重い扉を引き上げる必要があり、自力で逃げたとは考えにくいという。