効果が不明確だったり無駄だったりする診療をやめて、患者とともに適切な診療を選択しよう――。医療の「賢明な選択」と呼ばれる米国発の活動を踏まえ、6月1日に東京都内で開かれる日本医学会のシンポジウムで、国内の医師たちが呼びかける。

 賢明な選択(Choosing Wisely)の活動は、高齢者への多剤処方など「過剰な医療」を見直す機運が高まってきた2012年に米内科専門医機構財団が始めた。専門学会に問い直す必要がある診療行為を五つ挙げることを呼びかけ、次第に主要学会がリスト作りに乗りだした。

 たとえば、ウイルスが原因の風邪やインフルエンザに抗生物質は効かず、抗生物質の使いすぎは耐性菌の増加につながる。75歳以上がコレステロール値を下げても死亡するリスクが下がるという明確な証拠はなく、利益と不利益を十分考える必要がある。こういった計400項目以上のリストができた。

 日本でも七条診療所(京都市)の小泉俊三所長らが昨年、任意団体「Choosing Wisely Japan」を設立。1日のシンポで、日本の学会も再考すべき医療を提言してほしいと呼びかける。小泉さんは「専門学会として本当に必要か考え直してほしい。その結果をみて、医師と患者が話し合って適切な治療を決めるようになればいい」と語る。(編集委員・瀬川茂子)

2017年5月31日11時53分 朝日新聞
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