>>344
高圧的な姿勢は過去数年にわたって増え続けた。
2012年まだ民主党政権だったころ、私は、元慰安婦に取材する機会を求め、また紛争の渦中にある竹島(韓国語では独島)を訪ねるために韓国に旅行をした。
もちろん、それは韓国政府のPRに違いなかったが、論争の中心を私自身の目で見てみるという滅多にない機会だった。
私はその直後外務省より昼食の招待を受け、島が日本のものであると証明する何十ページもある資料を渡された。

2013年、もう安倍政権になっていたが、三人の元慰安婦のインタビューについて書いたあと、私は再び昼食に招待された。
そして首相の考えを理解するための資料を再び手渡された。

だが、2014年になると事態は変化した。外務省の当局者は今や、批判的な報道に公然と攻撃するように見えた。
私は、首相のナショナリズムが対中国貿易にもたらした影響について記事を書いた後に呼び出された。
私は公式に発表された統計を引用しただけだと伝えたが、彼らは数字が違っていると反論してきた。

話は戻るが、ドイツでの総領事とデスクとの会談の2週間前にも、私は外務省当局者たちと昼食をとっていた。
そこで彼らは、私が「歴史を修正する」という言葉を使ったり、安倍首相の国粋主義的な方針は「日本を、東アジアの中だけでなく孤立」させかねないという考えを書いたりすることに抗議した。
その口調は、説明しようとか、理解してもらおうというのではなく、冷淡なもので、その態度はまるで怒っているようだった。
私が、なぜドイツのメディアが歴史的修正主義にとくに敏感なのかを説明しようとしても、誰も聞こうとしなかった。

政府の役人たちからの外国特派員たちへの昼食会の招待の数が増えてきていることや、第二次世界大戦の日本の見解を広めるための予算が増えていること、
あまりに批判的に見なされている外国特派員たちの上司を(もちろんビジネスクラスで)招待するという新しいトレンドのことも聞いている。
そこで私は、政府側の方たちに対してひとつ提言したい。
こうしたデスクたちは政治的なPRに遭遇することは日常的なことと言っても過言ではなく、政府側の不注意な努力はしばしば意図とは反対の効果をもたらしやすい。
私のケースで言えば、デスクがドイツで領事に会った際、中国から私が基金を受けていると領事が発言したことを後日外務省に公式に抗議を申し入れたところ、
外務省が「それは誤解だった」と言ったのみで、結局なんの意味ももたなかったのである。