東京大学の教授が、ネイチャーなどの科学雑誌で発表した分子生物学の論文5本について、「正確さに欠ける図表が載ってしまった」として、
論文の訂正や取り下げについて検討を始めたことがわかりました。これらの論文について東京大学は、研究不正がなかったか調査を行っています。

論文の訂正や取り下げについて検討が始まったのは、東京大学分子細胞生物学研究所の渡邊嘉典教授が中心となって発表した5本の論文です。
論文は、精子や卵子が作られる過程で働くタンパク質について研究したものなどで、平成20年から平成27年にかけてネイチャーやサイエンスなど世界的な科学雑誌に掲載されました。

渡邊教授は所属する学会の関係者などに「正確さに欠ける図表が載ってしまった」として、論文のデータの訂正や取り下げについて、掲載した雑誌社と検討する手続きを始めたことを文書で伝えました。
これらの論文をめぐっては、去年、グラフや画像などのデータに不自然な点が多数あり、研究不正が疑われるという匿名の告発文が大学に届き、東京大学はねつ造などの研究不正がなかったか調査を行っています。

渡邊教授は文書の中で、「論文の責任著者として大きな責任を感じておりますが、論文の科学的な結論に影響を与えるものではないと考えております」などとコメントしています。

配信 6月19日 17時01分

NHK NEWS WEB
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170619/k10011022861000.html