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2017/7/1 23:18

 はしかの今年の患者数が163人となり、関西空港で集団発生があった昨年1年間の159人を既に上回ったことが1日、国立感染症研究所の調査で分かった。海外で感染した人を起点とした集団発生が各地で起きている。ワクチン接種の徹底によって過去最低の35人だった2015年から一転し、2年連続の増加となる。

 東南アジアや欧州で患者が増えており、海外に行く人が増える夏休みを控え、感染研の多屋馨子室長は「ワクチンを2回受けていない人は、今のうちにぜひ接種をしてほしい」としている。

 感染研によると、6月18日現在で最も多いのは山形県の53人。続いて三重県の22人、東京都17人、広島県の11人となる。感染したとみられる国はインドネシアが最多で、タイやマレーシアなども報告されている。

 山形県で3月、インドネシアから帰国した男性の感染が判明し、5月に終息するまで患者が相次いだ。三重県は2月に集団発生を確認。広島県でも2月に発生、保育園児などに患者が出た。

 日本は08年に1万人以上のはしか患者が報告されたが、その後の対策が奏功。15年に世界保健機関(WHO)から土着のウイルスによる感染がない「排除状態」と認定された。ただ、東京医科大の浜田篤郎教授は「対応を怠ると、日本も再びはしか流行国になるだろう」と懸念を示す。

 はしかは麻疹ウイルスを原因とする感染症。主な症状は発熱や発疹で、肺炎や脳炎などの合併症を起こして死亡することもある。ワクチンが有効な予防手段で、確実に免疫をつけるには2回の接種が望ましいとされる。〔共同〕