自動車盗の発生率が昨年まで10年連続全国ワーストの茨城県で、盗難件数が急減している。
盗難車を買い取る中古車解体施設「ヤード」の取り締まり条例が4月に施行され、対策は功を奏したかにみえるが、隣接する福島県の南部で自動車盗が急増。

「犯行グループが活動の場を移したのではないか」との指摘も出ている。

茨城県では昨年、未遂を含めて計1590件と全国最多の自動車盗が発生。人口10万人当たりの発生率は10年連続ワーストだった。
首都圏に近く港湾が整備されているなどの地理的条件のほか、宅地面積が広い住宅が多く人目につきにくいなどの要因が考えられるという。

県警は条例施行を追い風に摘発や検査を強化。今年5月末時点の盗難件数は526件と、前年同期比で290件減った。一方、隣接する福島県南部のいわき市では自動車盗が急増。
今年5月末時点で前年比1.5倍の約60件となった。福島県警幹部は「犯行グループが茨城から移ってきたのではないか」と漏らす。

茨城県警の捜査関係者も「千葉県がヤードの規制条例を施行した後、茨城で自動車盗が急増した。
規制が厳しくなると別の場所で犯行を続けるとみられ、県境を越えた捜査の協力態勢が必要だ」と指摘している。〔共同〕

配信 2017/7/10 9:58
日本経済新聞
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG09H4Y_Q7A710C1CC0000/