http://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-40517239

睡眠不足が脳に与える影響について、カナダの研究チームが世界最大規模の調査に乗り出した。

カナダ・オンタリオ州にあるウェスタン大学の研究チームは、認知テストにオンラインで申し込むよう世界中の人に呼び掛けている。
特別に考案されたコンピューター・ゲームは、推論、言語理解、意思決定などのスキルをテストする。

テストを試す有志ボランティアに私も加わり、テストを受けながら脳をスキャンしてもらった。

先駆的

オンタリオ州ロンドンの脳精神学会を拠点に活動する英国出身の神経科学者、エイドリアン・オーウェン教授がこの研究を指揮している。

「睡眠不足がどんな感じか誰でも知っていますが、脳への影響はほとんど分かっていない。そのため、睡眠不足が認知、記憶、集中力にどう影響するのか知ろうとしている」と教授は話した。

研究チームは認知スコアを集計し、睡眠時間によってスコアがどれだけ変動するかを観察する。
必要な睡眠時間は人によって異なるが、十分な人数が研究に参加すれば、脳が機能を最大限発揮するのに必要な平均時間を科学者が見極められるかもしれない。
ウェスタン大学で夜を過ごす4人の有志に私も加わった。我々は頭脳ゲームを実際に試し、睡眠不足がどれだけ認知能力に影響するかを具体的に示した。

(中略)
なぜ重要なのか

私たちは人生の3分の1近くを眠って過ごす。何を食べるか、どういう空気を吸うかと同じくらい、睡眠は健やかな暮らしに不可欠だ。

24時間365日常に活動が続く現代において、私たちの睡眠時間はどんどん短くなっている。

5月に神経科学誌「ネイチャー・レビューズ・ニューロサイエンス」に掲載された論文は、慢性的な睡眠不足が脳に及ぼす影響は「意外なほどほとんど理解されていない」と論考した。
論文は「先進工業諸国全体での睡眠時間の急激な低下」について説明し、さらなる研究が緊急に必要だと加えた。

科学と社会の両方が必要とする答えを見つける作業に、睡眠研究に参加する人たちは、貢献できるかもしれない。

(英語記事 How lack of sleep affects the brain)
2017/07/10