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2017/7/11 11:30

 小中学生が外国人スタッフらと英語漬けの寮生活を送る山村留学施設「くらぶち英語村」を、群馬県高崎市が来年4月に開校する。市によると、英語に特化した山村留学は全国初。今年8〜10月の体験留学には1900人を超える応募があり、市はうれしい悲鳴を上げている。

 JR高崎駅から北西に約30キロ離れた旧市立倉渕川浦小学校跡。7月上旬、青々とした苗が育つ近くの田んぼからカエルの鳴き声が響き、後ろに山々の稜線(りょうせん)が広がる。グラウンドには来年3月の完成を目指し、寄宿舎の建設工事が進んでいる。

 「自然の中、のびのびと生活しながら、生きた英語を身につけられます」と担当する市企画調整課長の太田直樹さん(52)。6年前に廃校になった旧校舎は改修費がかさむため寮への利用は見送り、活用法は今後、検討するという。

 定員約20人を予定する1年間の通年コースでは約4〜6キロ離れた小中学校に徒歩で通い、帰宅後は英語だけで生活。週末には田植えや登山など、周辺の自然を生かしたプログラムを外国人スタッフらと体験する。夏休み、冬休み限定のコースや土日に1泊2日で参加する週末コースもある。

 6月、近くの宿泊施設で実施する体験留学を案内すると応募が殺到。日程を増やし、当初の40人から120人に。募集は締め切ったが、7割近くが県外からで東京、神奈川など首都圏の他、岩手や鹿児島からも申し込みがあった。

 NPO法人全国山村留学協会によると、1970年代に始まった山村留学は「地域の活性化や小中学校の維持ができるため、過疎に悩む地方に広がった」という。ただ、少子化で2004年度をピークに参加者は減少。協会は「英語を特色にするのは新しい変化だ」と今回の動きを歓迎する。

 高崎市は小1から英語の授業を実施するなど英語教育に力を入れ、市内約80の市立小中学校全てに外国語指導助手(ALT)を配置。文部科学省出身の富岡賢治市長は「グローバルな人材を育てるため、最先端の教育を目指す」と力を込める。応募は12月28日までで、問い合わせは英語村事務局(電)〔共同〕