九州で、農家の出身でないものの新しく農業を始める「新規参入者」が少しずつ増えている。トマトやピーマンなど野菜を栽培する人が多いという。農業の活性化につながる期待がある一方で、定着への支援が課題になっている。

 九州農政局がまとめた2016年度の「九州食料・農業・農村情勢報告(九州農業白書)」によると、九州で15年に「新規参入」したのは540人。4年連続で増え、「00年以降では最も多い」(農政局)という。一方、農家出身者が他の産業で働くなどした後の新規就農は、減少傾向にある。

 県別で最も新規参入が多いのは熊本県といい、野菜生産額も九州一だ。熊本県農地・担い手支援課の担当者は「30代を中心に、会社員などをやめて参入する人が目立つ」とみている。

 全国新規就農相談センター(東京)によると、九州での新規参入の増加は、野菜栽培が盛んなことが背景にあるという。ハウス栽培のトマトなどは、コメに比べ、狭い面積でも利益が確保しやすい。ピーマン栽培が盛んな鹿児島県志布志市のように、農業体験などを通じ、農業を志す若者の呼び込みに力を入れる自治体もある。

 九州農政局は、12年度に始まった国の給付金制度も一因とみる。農業への参入を後押しするため、就農前から最長7年、年150万円程度が支給される。

 課題はどう定着できるかだ。全…

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http://www.asahi.com/articles/ASK754CHCK75TIPE012.html
「斉藤トマト塾」を主催するトマト農家の斉藤信幸さん(左)と研修生=6日、熊本県阿蘇市、高橋尚之撮影
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