東芝の半導体子会社「東芝メモリ」の売却を巡って、協業先の米ウエスタンデジタル(WD)が差し止めを求めている訴訟で、米カリフォルニア州の上級裁判所は現地時間14日、双方の意見を聞く審問を開いた。
上級裁はこの日の決定を見送り、28日に再び審問を開くことになった。

東芝とWDは合弁会社をつくり、四日市工場(三重県)で半導体メモリーを共同生産する。
WDは5月、「同意のない東芝メモリの売却は合弁契約違反だ」として、国際仲裁裁判所に差し止めを申し立てたが、その判断が出るのは通常1〜2年先とされる。
今回の上級裁では、仲裁判断が出るまで売却を差し止めるようにという、日本の仮処分命令にあたる措置を求めている。

この日の審問で、裁判長が「東芝が売却手続きを完了する2週間前までにWDに通告する」ことを提案。
この提案に基づき、28日まで詳細を詰めることとした。正式に決まれば、東芝は進行中の売却手続きを止める必要がない一方、WDには通告を受けて何らかの法的措置を起こす余地を残す判断になる。

東芝は米原発事業で出した巨額の損失で、今年3月末時点で債務超過に陥った。2年連続の債務超過は東京証券取引所のルールで上場廃止となるため、今年度中の東芝メモリの売却を目指している。
間に合わない場合は、経営再建に大きな影響が出る。(西尾邦明、サンフランシスコ=宮地ゆう)

配信2017年7月15日11時06分
朝日新聞デジタル
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